「令和の日本に刺さってほしい」 Hwyl、社会や人間関係の核心をつく言葉と音楽
「韻に気づいたきっかけはKREVA」(あきた)
ーーあきたさんは音楽をやりたくて上京されたんですね。
あきた:バンドをやりたいと思って出てきたわけではないんですけど、高校までバスケをやってて、卒業して何がしたいかと考えたときに、そもそも歌うことが小さいときから好きだったんですよ。休みの日はカラオケで、ひとりでフリータイムで歌ったりして。人の曲を聴いて「自分だったらこうするな」とか思うことがよくあったんで、自分で曲を作ってみたいなと思って、東京に来て音楽の専門学校に行きました。
ーー曲作りをする上で影響を受けたというか、自分で作ってみたいと思ったきっかけみたいなものは?
あきた:影響を受けているかどうかはわかんないんですけど、小学生ぐらいからヒップホップがずっと好きで。韻に気づいたきっかけはKREVAでした。
ーーラップをやるんじゃなく、好きだった歌とくっついた感じ?
あきた:メロディがないのはイヤだったんです。学校の授業でバンドを組んだりして、人とやるのは楽しいなって思ったのもあります。バンドをやりたくてやってるというか、やりたい人とやってる感じですね。
クマダ:私もそうです。このバンドに関して言うと「りさちなら」と思ってやってます。ただ、タケマはめちゃめちゃ男子で、私はたぶんめちゃめちゃ女子なんで、言ってることの意味がわかんないときがあって……。
あきた:(笑)。バッチバチだったよね。
クマダ:バッチバチっていうか、私が一方的に怒っちゃうことが多かったんですよ。ちょっとバカなとこあるじゃないですか、男の子って。
タケマ:(ライターを指して)男性だから。
ーー大丈夫、その通りだと思います(笑)。
クマダ:私、大人になるまでケンカもそんなにしたことがなかったのに、いちいちちゃんと怒っちゃってて。でも彼も怒られたらイヤじゃないですか。だからケンカになっちゃうっていう……たぶん真逆なんだと思うんですよ。だからりさちが「タケマが入りたいって!」ってウキウキで電話くれたときも、私は「大丈夫かな……」って。
あきた:(笑)。
ーーHwylとして最初に作った曲は何ですか?
クマダ:2人だと「オマエアレルギー」かな。りさちも私も前にやっていたバンドから曲を作っていたんで、すでに何個かあったんですけど、りさちが新たに持ってきてくれたデモが「オマエアレルギー」と「SIREN」と、あと「i don't know」でした。その中で最初にリリースしたのが「オマエアレルギー」ですね。
ーー「オマエアレルギー」のカップリングの「FLOWER MOON」は、いま聴くとちょっと感じが違いますね。
クマダ:私が作ってる曲だからだと思います。それを6月に出して、10月に「i don't know」を出した日ぐらいに初ライブをしたんですよ。そのときにいまのディレクターに会ったんですけど、りさちの歌詞を気に入ってくれて、やっぱこっちで行くべきかなって。
ーーそれからあきたさんの曲が中心になった?
クマダ:最初はりさちの曲をメインに私のもやるみたいな話だったんですけど、本気出してやるならっていう感じで、私はギターに集中するっていう方向転換だったのかなと思います。
ーーライブにお邪魔したときに色彩豊かで変化に富むサウンドに感銘を受けたんですが、アレンジはどうしていますか?
クマダ:「i don't know」とか「SIREN」ぐらいまでは自分たちでやってますけど、「暮らし」あたりからはアレンジャーさんが入ってくれてますね。アイデアはけっこうバンドで出しながら、一緒に進めてます。
ーーいま「暮らし」のお話が出ましたが、めちゃくちゃバズりましたよね。どんな気分でしたか?
クマダ:ディレクターに「TikTokとかやってよ」とずっと言われていて、めんどくさい、やりたくないと思いながらチラチラ上げてたんですけど、下北沢のFlowers Loftっていうライブハウスでやった日にマジでお客さんが0人で、そのとき撮った「暮らし」の動画に歌詞をつけて上げたら、5日後ぐらいにバズったんですよ。200人ぐらいしかいなかったフォロワーが一瞬で5000人ぐらいまで増えて「来た来た!」と思いました(笑)。
あきた:めっちゃイヤイヤやってたもんな。バズったら急に「TikTok最高だな!」つって(笑)。
クマダ:「歌詞つけんの超大変じゃん……」って白目むきながらやって、バズったら初めて「気持ちいい!」みたいな。りさちもコメント全部返してました。その動画をインスタやYouTubeに載せたらそれも回って。その直前ぐらいにタケマは「入りたい」って言ってくれてたんですよ。
タケマ:「入りたい」って言って「いいよ」って言われて「やった!」って言った1週間後にバズって「おおー!」みたいな。
クマダ:その1個後のライブに、前回0人だったのに10人ぐらい来てくれたんですよ。ライブ映像でバズったのもあったんだと思うんですけど、音源のみじゃなくて。けっこうライブ映像はまめに上げていて、以降、大バズはないですけど、地道に1万再生ぐらいずつ回ってくれてます。
あきた:最初「暮らし」は好きじゃなかったんですよ、自分は。なんでかって言われたら、けっこうリアルじゃないですか。思ったことをそのまま書いてる感じだから、歌うのもちょっと恥ずかしいなって。ノディに聴かせたときに「これ絶対いけるよ!」みたいに言ってくれて、わぁは「やだやだ」って最初は言ってたんですけど、「いや、絶対いける」ってずっと言ってくれてたから「じゃあ録るか」つって録ったらこうなりました。
ーーリアルすぎて好きじゃなかったということは、何かひねりがあったほうが満足できる?
あきた:ストレートすぎないほうが、自分は恥ずかしくないんですよ。でも結局、自分はリアルにしか書けないんだな、って最近気づき始めてます。もっとオシャレに書きたいんですけど、性格がこういう感じだから。
クマダ:Hwylはもともと2人でやってたときからステージ衣装もセットアップを2人で分けて着たりして、スタイリッシュな感じで行きたかったんですよ。アー写が最近変わりましたけど、最初からこういう感じがよかった。
ーーこれがそもそも目指していたイメージなんですね。
クマダ:「東京庶民代表バンド」って言ってますけど、ずっと庶民でい続けたいわけではないので(笑)。そのときそのときのHwylのリアルを歌っていければいいのかなって。