日向坂46「君はハニーデュー」MV分析 原点回帰と未来への決意、過去作のオマージュも
本作MVのテーマは「未来の自分との対話」。自分に自信のなかった一人の少女(MVでは正源司)が、未来の自分との対話を重ねながら自信をつけ、日向坂46を未だ見ぬ世界へ連れていくというストーリーとなっている。正源司と言えば、17歳という年相応の無邪気で愛嬌のある一面もあるが、ステージに立つと人が変わったかのように大人びた表情を見せるギャップが魅力のメンバーだ。冒頭でまっすぐ鏡を見つめる凛々しい表情から一転して、笑顔弾ける表情で廊下を駆け抜けていく正源司。メンバーを見つめる目の輝きと屋上で繰り広げられるフォーメーションダンスでは、彼女の存在感が一際目を引いた。そして、理想の世界へと迷い込んだ正源司が、日向坂46のメンバーに感化されて次第に笑顔でパフォーマンスをする姿が現在の日向坂46を表しているようで感慨深いものがある。
本作には歴代センターを象徴する振り付けがBメロで描かれており、小坂菜緒は「キュン」、佐々木美玲は「アザトカワイイ」、加藤史帆は「君しか勝たん」、金村美玖は「ってか」、丹生明里は「One choice」、上村ひなのは「Am I ready?」、佐々木久美は「君は0から1になれ」のポーズが立て続けに披露される。それだけでも、往年のおひさまにとっては感動的ではあるが、ラストに正源司が扉を開けてヘリポートが設置された屋上へと意を決して踏み込んでいくシーンは、けやき坂46時代にリリースされた「期待していない自分」のシーンとも重なる。実はこのシーンで使われている屋上は「期待していない自分」と同じであることが河田陽菜のブログで明らかとなっており、あの時とはグループの状況もメンバーも異なるが、明るい未来に向かって進んでいくメンバー一人ひとりの覚悟は同じものに感じた。どんよりとした雲が広がっていた「期待していない自分」とは違って、映像に青空が映し出されているのも、日向坂46の新時代を感じさせる演出だった。
昨年の『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出場を逃すなど、悔しい場面もあったが、本作のMVを見る限り、彼女たちはまっすぐ前を向いてすでに新たな可能性を見出しているようにも思えた。日向坂46の未来は明るい。
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