なぜ「Just Like Dat」がこれほどまでに世界中の音楽ファンを魅了しているのだろうか。その理由のひとつが、楽曲の魅力そのものにあることは間違いなさそうだ。特にJP THE WAVYがプロデューサーを務めていることが、楽曲のクオリティをワールドスタンダードに引き上げている一因だろう。彼は日本のヒップホップシーンで最も注目されているラッパーの一人であり、自身の作品では、アメリカ、南アフリカ、韓国、ベトナムなどのアーティストと共演するなど、日本国内だけでなく世界に向けたサウンドを手がけてきた。そして、今作でも世界に向けた視線は変わらず、最新の上ネタ使いと懐かしいY2Kな手触りをハイブリッドにブレンドしたサウンドは、JP THE WAVYだからこそのバランス感覚に溢れていて、欧米圏での音楽トレンドへの目配せを感じさせるものになっている。一聴してJP THE WAVYプロデュースであることがわかるドープさでありながら、尖ったヒップホップの要素だけが前景化せず、架空のラジオステーションでかかっている音楽というEP全体のコンセプトに寄り添った、キャッチーで爽快なドライブチューンに仕上がっていることもヒットの要因だろう。

　そして、もちろんPSYCHIC FEVERのメンバー自身の魅力もヒットの大きな要因だ。ボーカル、ラッパー、ビートボクサーからなるPSYCHIC FEVER。2019年にグループが正式お披露目されてから、LDH JAPAN所属のアーティストの多くが経験する「武者修行」を続け、2022年のメジャーデビュー以降、活動拠点をタイに移すなど世界に通用するアーティストを目指してきた。そして、2024年第一弾リリース作品となったのが『99.9 Psychic Radio』。「Just Like Dat (feat. JP THE WAVY)」のMVでは、真似したくなるようなキャッチーでレイドバックしたダンスと、キレキレな足捌きのプロフェッショナルなダンスが同時に披露されており、そのコントラストに思わず釘づけになってしまう。この緩急のギャップこそ、PSYCHIC FEVERの魅力のひとつであろう。

　そして、ラップパートのクオリティの高さにも驚かされる。ボーイズグループのラップと言えば、ややもするとラッパーの模倣の域を出ないこともしばしばだが、PSYCHIC FEVERのラップでは、各メンバーの個性とスキルがしっかりフロウに表れており、一人ひとりが独立したラッパーとして一本立ちできそうなほどである。1曲を通してカラフルなフロウのマイクリレーが成立し、飽きさせることなく最後まで楽曲をドライブさせていってくれるのだ。タイを活動拠点としてるグループだけあって、そのパフォーマンスは世界水準の「本物」なのだ。

　「Just Like Dat (feat. JP THE WAVY)」は、PSYCHIC FEVERの持つ音楽性とスタイルを凝縮した楽曲であるように思う。この楽曲を入り口にすることで、彼らの魅力をさらに深く探求することができるだろう。そして同時に、世界に向けた挑戦を掲げてきたPSYCHIC FEVERにとって、世界への扉を開く鍵のような楽曲でもある。その扉の先にある大きなステージに向かって彼らが大切な一歩を踏み出したことは間違いない。

■リリース情報
PSYCHIC FEVER「THE HEAT」
2024年3月2日（土）リリース
配信リンク：https://lnk.to/psychicfever-the_heat

「Temperature (Prod. JP THE WAVY)」
10月23日（月）リリース
ストリーミング＆ダウンロード：https://orcd.co/psychicfever_temperature
Choreography Video：https://youtu.be/80KQMCwLzVs

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