藤井 風、「花」MVのダンスシーンが持つ意味 “死生観”と“転生”の解釈

 現在放送中のクアトロ主演ドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)の主題歌「花」を担当した藤井 風。11月3日には、バラードやデモなど、4バージョンが収録された『花 EP』をサプライズリリース。さらに11月24日にはオフィシャルYouTubeにて「花」のMVを公開した。

 「花」は、リズミカルなピアノと藤井 風の歌が独特のグルーヴを作り出している、ミディアムアップチューン。ピュアで美しくも、どこか憂いあるメロディが特徴だが、全体を通してブライトな印象が残る極上のポップスだ。譜割りもシンプルで、藤井もこれまでにないくらいメロディに対し丁寧に、そして素直に歌唱している。

藤井 風「花 」

 歌詞の頭に〈枯れていく〉という“終わり”を彷彿とさせる言葉を持ってきているのも、死生をテーマにしている藤井らしいと言えばらしいが、〈探しにいくよ/内なる花を〉という最後のワンフレーズは、いろんなことを受け止めながら、それでも自分を探しにいくという、続いていく“生”へのエネルギーを感じる。

 YouTubeで11月24日に公開された「花」のMVは、藤井の「花」のなかで表現した己の“死生”への解釈をかなりストレートに表現した作品と言えるだろう。オーストラリアの砂漠一歩手前の広大な荒地で撮影されたこのMVは、最初のイメージシーンを覗けば、スタイリッシュな黒のスーツを着た藤井が、何かを引っ張っているシーンからスタートする。そして多くの花で飾られた棺桶に入った亡骸=藤井が〈枯れていく〉と歌い始める。生きている人間、亡くなった人間の両方を演じている藤井。黒いスーツは喪服なのだと気がつく。亡骸の藤井は、笑顔でリップシンクを重ねる。

 その後、黒い車(これもスタイリッシュなデザイン)に棺桶を乗せ、運転する藤井は歌いながらどこかへ向かう。車を走らせるシーンでは、上空から捉えたショットも挟まり、スケール感もある。「まつり」「Workin' Hard」、そして今回の「花」のMVディレクションを務めたMESSは、ロケ地での象徴的な風景やその場所での日常を必ず映像に取り込んできたが、「まつり」「Workin' Hard」「花」と続けて鑑賞すると、その風景と相まって藤井 風にとっては死は当たり前にあること、誰にでも必ず訪れる平等なものだと捉えていることがわかる。また前述したMESS作品の特徴として、ダンスシーンが必ずあること、衣装などで見られる原色を中心とした色使いなどがあげられるだろう。

藤井 風 - 花 (Official Video)

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