色々な十字架、恵比寿LIQUIDROOMワンマンの快進撃 独自のユーモア溢れる“白サバト”を体感
何とも感慨深いとしみじみと思っていたところでまたしても新曲が披露された。「みんな聴いてくれ！」その後に続いたのは、太鼓の響き、一輪車のサドルーーこのどこか懐かしさを感じるイントロは、そう「GTO（仮）」。「デジャヴか！？」と、とまどいが見え隠れするフロア。初見でここまで盛り上がるなんて嬉しい限りと言わんばかりの満足気な表情を浮かべる5人。「新曲どうでした？ 何か、初めてやったのに色々（コールや振りを）やってくれてありがとうございます！」とニコニコ顔のtink。フロアから「さっきやったよ（笑）」と漏れ聞こえてきたのは、彼の耳に届いただろうか。本編ラストには、新曲「耽美ヶ原小学校校歌（仮）」と「かなり耽美」といった暴れ曲を立て続けに並べ、ヴィジュアル系への愛をこれでもかとぐらいに見せつけていく。ここでは、フロア前方にいたしし者がヘッドバンキングで楽曲を盛り上げていったのだが、バンギャ特有のノリを初めて見たしし者もいたのか、興味深くフロアを眺めていた人たちも多かったのが印象的だった。
アーコール（アンコール）前には、メンバーによる紙漉き体験動画で華麗にワンマンタイトルの伏線回収を果たす。余談だが、紙漉き体験で作った作品は終演後にメンバーからのコメントが書かれ、ドット絵というぐらい画質が悪すぎるポスターに貼られていたのだった。アーコールは、「TAMAKIN」と新曲の「Feel so loved」がラストを締めくくった。まさか、最後の最後にメンバー全員がボーカルを務める楽曲を持ってくるなんて誰が想像しただろうか。しかも、あまりに5人の歌がうまいものだから、フロアからは感嘆のため息が漏れていた。
最後までヴィジュアル系へのリスペクトを忘れず、さらには面白さを詰め込んで観る人たちを楽しませてくれた色々な十字架。もちろん、ここでは書ききれない面白さが盛りだくさんと言えるほどあったので、ぜひ機会があれば、今後の白サバトに足を運んでその目で彼らの世界観を体験してもらいたい。MCで「嘘から始まったバンドだけど、今のこの状況が嘘みたい。このままどこまでできるか分からないけど、できる限り楽しいことを続けていけたら」とdagakiは言った。その上で、「音にだけは正直にという覚悟が最近メンバー間で決まってきた」とkikatoは話す。色々な十字架の快進撃はどこまで続くのか、彼らの信念と共に見届けていきたい。
