嘘なしの気持ちを言葉にするという根本は変わらずにいたい（ににちゃん）

ーーそして最後は「微熱」。これまでの3曲とは歌詞の雰囲気もガラッと変わります。

ににちゃん：この曲は自分が絶望したときに書いた歌です。どんなに自分が絶望的なところに立たされていたとしても、自分が決めたことだから、一旦マイナスな気持ちを見えないふりして「大丈夫」って思わなきゃいけないなって思って。自分を傷つけるふりをして守っているイメージで作りました。バンドもそうだし、学校とか仕事とか、今自分がいる状況って、自分が選択し続けてきたことの連続でできた場所じゃないですか。だから「あれしなきゃよかった」とか思ってもどうにもならないんだなってことを考えていたときの歌です。

ーー歌っている内容だけでなく、歌詞のテンション感もほかとは違う印象を受けたのですが、そこの書き分けは意図したところ？

ににちゃん：いや、していないですね。でも自分的に「微熱」は今自分が一番歌いたいことを歌えているなと思います。今までに作った曲の中で一番好きです。バッドに入ったときに自分でも聴く歌なんですけど、そういう歌を自分で書けたことがうれしい。

しゅか：いい意味でつきみっぽくない曲だなと思っていて。強いことを歌っている子でも、こういうことを思うんだよって言える曲。本当につきみが好きな人にはこれを聴いてほしいです。

ーー本作のレコーディングで特に意識したことや大切にしたことがあれば教えてください。

にこちゃん：発音ですね。歌詞を聴いてほしいから、ちゃんと一音一音聴こえるように、滑舌良く歌いました。

ーー歌詞を聞いてほしいというのは、ライブでも意識していること？

ににちゃん：はい。基本的に、歌詞が飛んだとき以外は全部歌います。ライブで勢い余って歌詞をあまり歌わないバンドさんとかもいますけど、それはそれでカッコいいなと思いますが、私は歌詞を聴いてほしいから絶対に歌います。

ーー歌詞を大事にしているというお話もありましたが、ににちゃんさんが歌詞を書く上で影響を受けているなと思うのはどういったものですか？

ににちゃん：本を読むのが好きで。昔はミステリーをよく読んでいたんですが、最近は藤崎彩織（SEKAI NO OWARI Saori）さんの『ふたご』がお気に入りでずっと読んでいます。本当に好き過ぎて、死ぬときは棺桶に入れてほしい。

しゅか：わかった（笑）。

ににちゃん：ありがとう（笑）。初めて読んだのが中学生の時だったんですけど、そのときから年に2回くらいの頻度で読み返しています。感情を言葉にするときの言葉の使い方が絶妙で気持ちいいんですよ。「これが言いたかった！」「あのとき言葉にできなかった感情はこれなんや！」っていうのが、何回読んでもこの本にはあって。だから自分でもこの本からは影響を受けているなと思います。

ーーつきみは「気合い系ギャルロックバンド」と謳われていますが、ギャルマインドみたいなところも意識しているポイントの一つなのでしょうか？

ににちゃん：自分たちでは別に「ギャルロックバンド」とは言ってなくて。「気合い系ぶっ壊しテロリストバンド」と言っているんですが、コンプラ的に良くないから、打ち出すときには「ギャルロックバンド」と書いてもらっているだけです（笑）。そもそも自分がギャルになりたいとかそういうことではなくて。自分がかわいいと思う服やメイクをしていたら、行き着いた先がギャルだったっていうだけ。メンタルもめっちゃ強いから、攻め攻めで過ごしていたら周りから「ギャル」と言われて。私は我が強いし、「ギャルだからこういうことをする」とかじゃなくて、普通に自分がしたいことをしたら、それが周りからはギャルだと捉えられているだけなんです。

ーーなるほど。しゅかさんも同じ？

しゅか：私は逆に全然ギャルじゃなくて。最初は彼女に影響を受けていたんです、「私も強くなろう」って。

ににちゃん：そうなんや！

しゅか：そう。でもこれだけ一緒にいてもまったく強くならないってことは、私はギャルじゃないんだなと気づいて。「自分は自分でいいや」と思うようになりました。心はそんなに強くないけど、ににみたいな強い人に助けてもらう側でいいんだなって。逆に今は、そんな自分を突き通しています。

ーーそれぞれが“自分らしくいる”のがつきみの魅力なんですね。

しゅか：そうだと思います。

ーー「ノリで！」と言いながら売れたいとおっしゃっていましたが、改めてバンドとしての今後の目標や展望を教えてください。

ににちゃん：自分が曲を書き続ける限り、歌う内容は変わっていくと思うんですけど、歌いたいことを歌うとか、嘘なしの気持ちを言葉にするという根本は変わらずにいたいなと思います。あとは、聴いてくれるお客さんがいてうちらはやれているから、それは絶対に蔑ろにしたくない。みんなのことを大事にしながら、頑張っていきたいなと思っています。

ーー変な話、恋愛の歌を歌うという点に関しても変わっていくかもしれない？

ににちゃん：それも全然わからないですよね。「男なんて知らんわ」っていうゾーンに入るかもしれないし、悟りを開いたら歌わないかもしれないし。まじで大恋愛をするかもしれない。とにかく嘘はつかずにいたいですね。

しゅか：お客さんを置いていかずに売れていきたくて。お客さんが全然いないときからずっとライブに来てくれている子とかもいるので、その子達が寂しい思いをしないように、一緒に次の場所に行く感覚で売れていけたらいいなと思っています。

■リリース情報
1st EP『きえたくなる度君、刻む♡』
2023年11月8日（水）配信リリース
配信ストアリンク：https://big-up.style/icPRnBTL3m

■ライブ情報
『つきみpre. 1EP「きえたくなる度、君刻む♡」release party』
日時：2023年11月14日（火）OPEN18:30 START19:00
会場：東京・下北沢Shelter
料金：ADV¥3,500＋1D
出演者：つきみ、東京初期衝動
チケット：https://eplus.jp/sf/detail/3968860001

■関連リンク
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