shallm、新曲「境界戦」で迎えた“覚醒” 19歳のボーカル・liaが語るバンドの今とこれから

私たちのあいだには必ず“境界線”がある

――そして今回、shallmの2ndデジタルシングル「境界戦」がリリースされました。疾走感のある最高のロックチューンになっていますね。

lia:この曲は、あるアニメを観ていた時に、「この登場人物のイメージで曲を書いてみたい!」と思ったことがきっかけで生まれたんですよ。

――へえ! たしかにアニメの主題歌に使われていてもおかしくない楽曲ですよね。

lia:ありがとうございます。私、アニソンも大好きなんですよ。アニメのなかで流れるかっこいい曲が大好きなので、今回は勝手にタイアップ曲みたいな気持ちで作った感じですね。誰をイメージした曲なのか、気づく方もいるのかもしれないです。気づいてくれたら嬉しいですね。

――ソングライティングはスムーズに進んだんですか?

lia:今回、ものすごく時間がかかったんですよ。メロディは比較的すぐにできたんですけど、そこに歌詞の語呂を合わせていくのがすごく難しくて、かなり苦戦しました。あと、私は英語がしゃべれるわけではないので、サビ頭の英語のフレーズを書くのもすごく大変で。

――なるほど。でも、英語を使うかどうかはliaさんの匙加減ですよね。使わないという選択もあるとは思うのですが。

lia:サビ頭のメロディは絶対に英語じゃないとダメだと思ったんですよ。

――メロディが英語を呼んでいたわけですか。

lia:そうなんです。なので苦手な英語を上手く当てはめていくよう頑張りました。思い描いていたアニメの登場人物のように、果敢に挑戦しようと思って(笑)。

――そんな苦労もあってか、メロディに対しての言葉のハマり具合はハンパないですよね。ものすごく気持ちよく耳に響いてくる。メロディ自体もすごくキャッチーで耳馴染みのいいものですし。

lia:おっしゃっていただいたように、メロディのキャッチーさはすごく意識するところです。そのうえで「ああでもない」「こうでもない」を繰り返しながら、最高のメロを探しています。自分の強みのひとつである高音をどこにぶつけるかも、すごく考えるところではありますね。

ーー結構高低差のあるメロディですもんね。

lia:そうですね。上がり下がりのない平坦なメロディよりは、大きく動くほうが歌っていて楽しいと感じているので。ただ、それをやりすぎちゃって、レコーディングの時に自分で自分の首を絞めることもよくあります(笑)。

【shallm】境界戦 - Jacket ver.

――歌詞ではどんなメッセージを届けようと思いましたか?

lia:要約してしまうと、「みんな、仲よくしようよ」ということです。SNSなどで様々な人たちが言い合いをしている場面を見ることも多いので、そういう争いのようなものがなくなればいいのに、というメッセージを少しシリアスなテイストで書いていきましたね。怒りの感情も含め、ちょっと強めの口調で書きました。

――ご自身としても、気に入っているフレーズはありますか?

lia:〈何者にもなれない姿で〉とか〈何も分かり合えない僕らは〉のところは気に入ってますね。

――〈分かり合えない〉というのは、本作の重要なキーワードでもある“境界線”に繋がってくるところですよね。

lia:はい。世のなかにはいろいろな人がいて当たり前だし、好みに関しても人ぞれぞれじゃないですか。要は、私たちのあいだには必ず境界線がある。でも、それを壊したいというわけではなく、それは絶対的に存在するものとして、無理に超える必要はないというか。それぞれが違っているからこそ面白くなっていく部分もあるじゃないですか。みんながそう思えたら、世界はもっと仲よくなるんじゃないかなって思います。

――タイトルを「境界“戦”」という表記にしたのはどうしてだったんですか?

lia:相手との境界線を意識し、ちゃんと向き合うという意味で“戦い”という意味を込めました。時には境界を勝手に跨いでくる人もいるから、そこに対しての“戦い”という意味合いもあるし。すごく難しいことだとは思うんですけどね。私も無意識に誰かの境界線を越えてしまっていることもあるとは思うので。だから、もっとしっかり戦っていかなきゃな、と。今、こうやって歌詞についてお話しましたけど、話していない部分は余白を残した書き方もしているので、聴いてくださる方、一人ひとりにいろいろな解釈をしてもらえたら嬉しいなって思います。

――ボーカルのレコーディングはいかがでしたか?

lia:歌もかなり難しかったですね。自分で作ったのに「高っ!」みたいな(笑)。でも、自分としてもすごく気に入ったメロディができたし、そこには自信もあったので、歌っている時はすごく楽しかったですね。

――liaさんは、歌い方を微調整しながらテイクを重ねていくタイプですか?

lia:そうですね。さらに言えば、録ったあとにOKテイクを選ぶことにもかなりこだわります。細かい部分まで聴き込んで、言葉一つひとつのニュアンスでいいものをチョイスしていく感じです。聴き返していると、ビブラートの波のきれいさや息の分量、細かいところまで気になっていっちゃうんですよね。

――今回は全編通して叫ぶようなボーカルになっていますよね。

lia:ほぼほぼ怒ってるようなニュアンスかもしれないですね。キーもありますけど、たしかに叫ぶような気持ちを持ってレコーディングに臨んだ気がします。途中、本当に思いきり叫んでるところもありますしね。

――後半で出てくるロングトーンの叫びはインパクトありますよね。

lia:あそこはプリプロの段階で入れることを決めたんですけど、キーが高くて苦しくて泣いちゃいそうでした(笑)。

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