KREVA、観客と一体になって作り上げた武道館単独公演 全身全霊でぶつかり合い、何度でも目指す“頂上”
ライブの後半戦を前にしたMCでは「ラッパーなんだけどグッドミュージックも作れる。皆の力になれるような曲もある、ラブソングも歌う、両方があるから俺なんだと思う」と、シンプルな言葉でKREVAというアーティスト像を自ら語り、その実績とプロデュース能力の高さを改めて感じさせた。そしてKREVAはその後、こう言葉を続けた。
「全曲、ライブの最後に歌ってきた曲を俺らしく全開で新しい曲も含めていってみたいと思う」
バンドサウンドが流麗にメロウに次の曲のフレーズを紡いでいく。まずは「アグレッシ部 ~2019 Ver.~」へ。続く「居場所 ~2019 Ver.~」では「お前の、あなたの、君の、そして俺らの居場所!」と叫び、自分が立っているステージを指さす。「瞬間speechless」では、ロングトーンでマイクコントロールも見せた。続いてKREVAのソロのスタートを告げた1曲「音色 ~2019 Ver.~」へ。「音色」は、KREVAの音楽に対するスタンスを綴った楽曲だと思うが、いつ聴いても、とても切実で生々しく、そしてたゆたうような起伏を描くメロディが抜群にいい。つまり、いつ聴いてもその時のKREVAの切実さがこもっていると同時に、メロディも含めエバーグリーンな1曲だ。SONOMIを筆頭にアーティストのプロデュース、幾多のアーティストとのコラボレーション、他アーティストへの楽曲提供と、音楽家としていくつもの顔を持つKREVAだが、そのエネルギーの根本にあるのは、音楽へのぶれない想いなのだと、「音色」を披露するステージ上のKREVAを見ながら思った。
ライブ終盤、レゲエのテイストが入ったアッパーチューン「OH YEAH」へ。この曲は〈OH YEAH〉というコーラスを観客がレスポンスするのがお決まりだが、驚いたのはコーラス以外の部分をKREVAと一緒にラップしている観客が多数いたことだ。BPMがそんなに速くない曲ではあるが、フロウが滑らかで言葉数も多くなくメロディっぽいゆえ“一緒に歌える(ラップできる)”要素になっているのだろう。しかし、こんな筆者の驚きをアップデートすることが次の曲で起こった。ファンキーなパーティチューン「パーティはIZUKO? ~2019 Ver.~」で、KREVAは観客の掛け声の〈ここだ!〉を自分で言いたい、俺も〈ここだ!〉って言いたい、そのためには皆さんにラップしてもらわないといけないと説明し、観客の掛け声と自身のラップパートをテレコにすることに。「ずっと(自分のライブに)来てる人、できるでしょ? 昨日初めて来た人、今日覚えて帰って! 最近来始めたって人……勢いで来い!」と言って少し客席を笑わせた後、観客のラップパートへ。ステージバックのLEDスクリーンにリリックが映し出されると、観客はフロウも含めて見事にラップを決め、KREVAに〈ここだ!〉と叫ばせた。KREVAは「ここだ!」と繰り返しながら、この日一番の笑顔を見せた。
アンコールで、King & Princeに提供した「ichiban」のセルフカバーを初披露するなど“頂上”的なサプライズも飛び出したこの日のKREVAのライブ。この後のMCでの彼の言葉を最後に記しておこう。
「毎回、毎回、全身全霊でぶつかっていかないと、こういうやばいパーティができていないと思う。俺はまだまだいける。これからもよろしくお願いします。来年でソロ20周年……」
笑顔の観客から大きな拍手が起こる。
「……いろんな楽しみ方を考えているので。(今日は)すげえ楽しかった、ありがとう」
ラストは「Under the Moon」。曲の途中「今日はみんなが優勝」と言ったKREVAは、最後にイヤーモニターを外し「生でその声を届けてくれよ」と観客の声を両手を広げ全身全霊で受け止めていた。
本人の言葉にもあったように2024年にソロデビュー20周年を迎えるKREVA。どんな祝祭をプロデュースしてくれるのか、楽しみだ。
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