本編ラストナンバーを前に、水樹はあらためて声出し解禁への感慨を口にする。コロナ禍以降は観客の声援を想像力で補ってきたことを回顧しつつ、「それが実際の音魂となってやってくると、ハンパない破壊力ですよね」「みんなが私を無双モードにしてくれるんです」と感謝の気持ちを吐露。そして一段と熱の入ったコール＆レスポンスを契機に「NEXT ARCADIA」へ突入すると、フロアへ大量の紙吹雪が放出され、客席上空は霧でかすんだような幻想的な光景に。数々のハイカロリーな演出を経てなお一切の衰えを見せない強靭なボーカル表現でこのハードロック歌謡ナンバーを朗々と歌い切った水樹は、満面の笑顔を弾けさせながらステージをあとにした。

　アンコールでは、ハードでシリアスな楽曲中心で届けられた本編から一転、朗らかでハッピーな楽曲群が連発される。10月より放送のテレビアニメ『でこぼこ魔女の親子事情』（TOKYO MX、BSフジほか）でオープニングを飾る新曲「Sugar Doughnuts」も惜しみなく披露し、オーラスの「DISCOTHEQUE」は銀テープの発射される大団円ムードのなかで歌唱。そしてCherry Boys、team YO-DAと共に一列に並んでの挨拶も終え、場内を名残惜しそうに手を振りながら一周したうえで袖に引っ込んだ水樹だったが、なぜか場内は暗転したまま。その予想外の事態に一瞬どよめいた客席だったが、再び盛大な「もう1回！」コールを轟かせ始める。すると、ややあって水樹が小走りでステージへ舞い戻ってきた。

　怒号のような歓喜の絶叫で歓迎するオーディエンスたちに向かって、「戻ってきちゃった！」と茶目っ気たっぷりに告げる水樹。「久しぶりの声出し解禁、やっぱりこの曲は絶対に外せないなと思って」とダブルアンコールとして披露されたのは、ライブでコール＆レスポンスをする喜びを初めて知った曲だと語る「POWER GATE」だった。興奮のピークを更新した客席は、最後の力を振り絞って声を上げ続ける。その雄叫びは雷鳴のように会場を揺るがし、絶頂のままフィナーレを迎えたのだった。

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