ももいろクローバーZの可能性を広げてきた名ギタリスト マーティ、イングヴェイ、布袋寅泰、和嶋慎治……輝かしい共演歴

 8月4日に配信リリースされたももいろクローバーZの新曲「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」が、モノノフ(ももクロファンの総称)のみならず各方面で反響を呼んでいる。「メイド・イン・ジャパンのももクロ流エンターテインメントを世界に!」をテーマに制作されたこの曲は、「行くぜっ!怪盗少女」をはじめ数多くのももクロ楽曲を手掛けてきた前山田健一(ヒャダイン)が作詞・作曲を担当していることでも話題だが、なにより2012年のヒット曲「サラバ、愛しき悲しみたちよ」以来11年ぶりに布袋寅泰がギターでゲスト参加していることが注目ポイントではないだろうか。

 これまでも、ももクロ楽曲のレコーディングやライブには国内外の著名ギタリストが多数参加しており、豪華なコラボレーションについてはグループのファンだけにとどまらず、ロックファンの間でも語り継がれてきた。このコラムでは、彼女たちがこれまで実現させてきた“豪華ギタリスト陣とのコラボレーション”を振り返りつつ、こういった共演がももクロの音楽性やライブにどのような影響を与えてきたか考察してみたい。

 まず、ももクロが著名ギタリストと初めて本格的なコラボレーションを試みたのは、2012年3月発売の7thシングル曲「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」でのことだ。前山田の作詞・作曲・編曲で知られるドラマチックで壮大なスケール感のシンフォニックメタル調のこの曲でギターを担当したのは、元Megadethのメンバーとしてお馴染みのマーティ・フリードマン。ももクロとマーティはその前年の2011年12月25日にさいたまスーパーアリーナで開催されたライブ『ももいろクリスマス2011 さいたまスーパーアリーナ大会』で初共演を果たしており、同ライブではリリース前の新曲として「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」を初披露したほか、「行くぜっ!怪盗少女」でも夢のコラボを果たしている。

【ももクロMV】猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 / ももいろクローバーZ(MOURETSU UCHUU KOUKYOUKYOKU DAI NANA GAKUSHOU "MUGEN NO AI”)

 2000年代半ばに日本へと移住し、J-POPに対する深い愛情を公言してきたマーティだが、ももクロに対する造詣も深く、ある意味ではこのコラボは必然だったとも言える。また、ももクロ側も2011年頃からロックアーティストとの対バンや『LOUDPARK 11』へのゲスト出演(Animetal USAとの共演)などで、賛否両論を巻き起こしている最中だったが、マーティとのコラボによって進むべき道がひとつ確立されたのは間違いない事実だ。マーティとは以降も良好な関係が続いており、2014年の12thシングル曲「MOON PRIDE」で再びギターを担当したほか、つい先日も『SUMMER SONIC 2023』でのライブにバンドメンバーとして参加している。

【ももクロMV】MOON PRIDE / ももいろクローバーZ(MOON PRIDE/MOMOIRO CLOVER Z "PRETTY GUARDIAN SAILORMOON Crystal")

 なお、この「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」にはマーティ以外のギタリストがプレイしているバージョンが存在するのをご存知だろうか。2014年6月に配信リリースされた「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』 (Emperor Style)」では、かのイングヴェイ・マルムスティーンのギター演奏が採用されており、ドラマ性を意識したマーティのプレイとは異なる、手数の多い“いかにも”なフレーズの数々を味わうことができる。曲の空気を読まず好き放題弾きまくる姿勢含め、ロック/メタルファンなら一度耳にしておくべき音源かもしれない。

 2012年11月に発売されたももクロの9thシングル曲「サラバ、愛しき悲しみたちよ」では、先に触れた布袋との初共演が実現。この曲が話題となり、ももクロは同タイミングに初めて『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にも出演し、同年末には『NHK紅白歌合戦』に初出場。「行くぜっ!怪盗少女」とのメドレー形式で同曲を披露している。また、翌2013年8月4日に日産スタジアムで行われた『ももクロ夏のバカ騒ぎ WORLD SUMMER DIVE』にも布袋はゲスト出演し、オープニングの「君が代」演奏のほか、「サラバ、愛しき悲しみたちよ」や布袋の持ち曲「バンビーナ」などでのライブ共演も実現した。

【ももクロMV】サラバ、愛しき悲しみたちよ / ももいろクローバーZ(MOMOIRO CLOVER Z/SARABA ITOSHIKI KANASHIMI TACHIYO)

 また、9thシングル『サラバ、愛しき悲しみたちよ』には「ピンキージョーンズ」以降数々の楽曲制作に携わってきたNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮など)が作曲・編曲を手がけた「黒い週末」も収録。ももクロのロック方面への傾倒を語る上で、この「黒い週末」も外せない1曲だろう。Black Sabbathやオジー・オズボーンの名曲たちのオマージュが要所要所にフィーチャーされたこの曲では、NARASAKIのほか人間椅子の和嶋慎治がギター演奏で参加。Black Sabbathオマージュ曲で和嶋がギタープレイ……とはいささか安直に映るかもしれないが、当時この異色コラボに胸躍らせたのは筆者だけではなかったはず。さらに、翌2013年5月に日本で初開催されたロックフェス『Ozzfest Japan』にはももクロ(初日)、人間椅子(2日目)もそれぞれ出演し、ももクロが「黒い週末」を披露した際にはゲストギタリストとしてNARASAKIと和嶋がサプライズ出演。会場のロック/メタルファンを唸らせている。

ももクロ【LIVE】黒い週末(from MomocloMania2018 –Road to 2020– DAY2)

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