『RUSH BALL 2023』プロデューサー・GREENS 力竹総明、コロナ禍でも止まらずに走り続けた25年間 音楽フェスの現在地を語る

今年のラインナップと出演アーティストとの“絆”、台湾での経験

『RUSH BALL IN TAIWAN 〜RB20th Anniv. SPECIAL from OSAKA JAPAN〜』

――そんな『RUSH BALL』は今年で25周年ですが、開催発表の際に力竹さんが「時代や環境、社会情勢の大きな変動により、大々的にやる年ではないのかなとも感じていて」と言っていたのに、後日5年ぶりに台湾でも開催するとぶち上げて(笑)。

力竹:あははは! 5年前の台湾(『RUSH BALL IN TAIWAN 〜RB20th Anniv. SPECIAL from OSAKA JAPAN〜』)もある意味勢いで、舞台、音響、照明、全部が仮設のなか、お客さんも2,000人ぐらい来てもらって成功したけど、収支は大赤字(笑)。でも、出演者、クルー全員参加の150人ぐらいで打ち上げもして、最終的に大盛り上がりでした。その時、僕は地元のイベンターに「また来る」と約束したので、お金の工面とか展開の方法、コネクション――今年はうちの若手もいっぱい連れて行って、海外での経験を積んでもらおうと。前回行った頃は、ちょうどインバウンドで盛り上がっていたけど、向こうからこっちに来る以上に、こっちからも向こうに行かないといけないですよね、どういう生活感で、何をほしがってるのかを知るためにも。

[Alexandros](『RUSH BALL 2017』)
[Alexandros](『RUSH BALL 2017』)

――台湾の出演者は、『RUSH BALL 2023』の本編終了時に発表ということでお楽しみにと。今年の3DAYSのヘッドライナーについても聞きたいんですけど、初日のトリが[Alexandros]、2日目がDragon Ash、3日目がSUPER BEAVERという納得の顔ぶれですね。

力竹:他にも、2004年以来のASIAN KUNG-FU GENERATIONは満を持して出てくれて。アジカン先輩がこのゴリゴリのタイムテーブルのなかでどういうものになるのか、それはそれで想像がつかないんだけど(笑)。

――WANIMA→アジカン→BRAHMANって……壮絶な並びの谷間に入ってますね(笑)。

力竹:でも、その日のトリのDragon Ashとは世代も近いし、いわゆるジャンルというものがあったとするなら、それがたとえ違えど、生きてきた時代のなかでやっぱり交流はあるわけで。[Alexandros]に関しては、付き合いも長いから任せて安心ですね。2017年にもDragon Ash→[Alexandros]→MONOEYESという流れがあって、骨太なロックに挟まれても[Alexandros]はしっかり強いとこの年に感じた。ちゃんと音楽と真摯に向き合ってるバンドやからどこに置いても大丈夫やし、今年はトリをお願いしました。

Dragon Ash(『RUSH BALL 2018』)
Dragon Ash(『RUSH BALL 2018』)

――Dragon Ashは初回の1999年から出ていて、25年経った今でもトリを飾るのはすごいことで、[Alexandros]も『RUSH BALL』の歴史のなかで成長している。

力竹:あとはやっぱり、『RUSH BALL』をきっかけにして[Alexandros]の「starrrrrrr」という曲が生まれたというエピソードが語り続けられる限りは、アーティスト同士だったり空気感のなかで何か化学反応が起きて、いい方向に向かうのは嬉しいことやから。

――今回が初のトリとなるSUPER BEAVERはどうでしょう?

力竹:SUPER BEAVERは、バンドとしてもものすごく努力して、「やっぱり一生懸命やれば伝わるんだ」という部分でも『RUSH BALL』で本当にいろんな場面を作ってくれた。今年はSUPER BEAVERへの恩返しというか、「これからも頼むぜ!」という期待感もあったりしますね。

SUPER BEAVER(『RUSH BALL 2019』/Photo by 瀧本JON...行秀)
SUPER BEAVER(『RUSH BALL 2019』/Photo by 瀧本JON...行秀)

――今年も濃い3日間になりそうですね。そもそも『RUSH BALL』が濃くなかったことがないですけど(笑)。力竹さんにとって『RUSH BALL』は、今となってはどんな場なんですか?

力竹:別に『RUSH BALL』だけじゃなく、人生を懸けないと立ち打ちできないキャパシティだったりシチュエーションの公演はあるけど、『RUSH BALL』を経験することで、屋根がある場所や音響がすでに用意されている会場なら、ちょっとやそっとのことが起きても動揺しなくなるし、逆に余裕すら生まれていくというか。

――『RUSH BALL』の25年を通じてバンドたちはもちろん、力竹さんもタフになったということですね。

GREENS スタッフ:あと、『Poppin’FLAG!!!』(FM802)で出演アーティスト(KANA-BOON/go!go!vanillas/Creepy Nuts)のコメントが流れるんですけど、「あなたにとって『RUSH BALL』とは?」という問いかけに、みんなが「実家」とか「おばあちゃん」って答えていて(笑)。その言葉をアーティストから聞けたのは、とても嬉しいなと。

――『RUSH BALL』は一日にして成らず、ですね。

力竹:ステージはアーティストのものだし、客席はお客さんのものだから余計なことは一切しないけど、非日常のちょっとした不自由を感じながらも必要最低限があって、集中して音楽に向き合える場所作りは、一貫してやってますね。

――「必要最低限」は言い得て妙な感じがしますね。過剰にもてなすことはしないけど、別に不便なわけでもない。そして、今年はようやく制限のない状態で思いっ切りライブを楽しめると。

力竹:なんかね、2日目のキッズチケット(小学生対象)がめちゃくちゃ売れていて。去年は10~20代が(コロナ禍による制限のピークから)解放されて、フェス飯を写真に撮ってInstagramに上げていたり、思い思いに楽しんでくれていたけれども、今年は家族連れがやっと解放されたんやなって。それは楽しみですね。

――最後にあらためて、今年の『RUSH BALL』に向けてひとことありますか?

力竹:本当に3日間全部をみんなに観てほしいな。オフィシャルサイトでエリアマップを見てもらえればわかるように、2ステージあるけど(そのあいだを)徒歩5分ぐらいで行けるのも、今の時代にはないシチュエーションで潔いと思ってます。3~4ステージ組もうと思えば組めるけど、時間が被って観たいアーティストを観ることができないのはよろしくないので。それこそチケットも一日8,000円で、全国的に見てもかなり安いんじゃないかな。ちゃんと優しく、でも無骨にはなりすぎない環境にしてるし、なんなら体力とお金の余裕を残して、12月の台湾でも一緒にわちゃわちゃできれば、今年の『RUSH BALL』は最高だと思ってます(笑)。

※1:https://realsound.jp/2021/03/post-727093.html

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■イベント情報
『RUSH BALL 2023 25years Goes On! 』
開催日:2023年8月26日(土)/27日(日)/9月2日(土)
会場:大阪 泉大津フェニックス

<チケット>
一般(中学生以上):¥8,000-
キッズチケット(小学生):¥3,000-
 ※通しチケットなし

<問い合わせ>
GREENS 06-6882-1224(平日12:00~18:00):https://www.greens-corp.co.jp
『RUSH BALL 2023』オフィシャルサイト:https://www.rushball.com

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