最後に、現在放映中の『仮面ライダーギーツ』（テレビ朝日系）およびその主題歌である倖田來未 × 湘南乃風「Trust・Last」にも触れておこう。歌詞に込められた意味が回を追うごとに明らかになっていく。その様子をリアルタイムで体感することこそ、仮面ライダー作品を観る醍醐味のひとつだ。

　世界を思い通りの姿に作り替えるためのゲーム「デザイアグランプリ」に身を投じるライダーたちの群像劇である本作。〈果てしなく続く 命の螺旋／時空も突き抜けて／すべて解き放たれるまで〉というフレーズは、グランプリ終了のたびにリセットされる世界を描いたものとも取れるが、ここ1カ月の放映を観ている方なら、この歌詞に新たな文脈を与えることができるはずだ。このフレーズが誰の目線で歌われたものなのか。誰が誰を〈解き放〉とうとしているのか。まだ本編を観ていない人にもぜひ追いついてもらい、この歌詞の真意を掴み取ってほしい。

　ここまで、仮面ライダー作品とその主題歌の歌詞の関わりについて見てきた。（一部例外もあるものの）一年を通して1曲の主題歌を聴かせる仮面ライダーシリーズでは、物語と歌詞が互いに影響し合ったり、新たな文脈が二重、三重に付与されたりと、回を追うごとに楽曲の解釈が深まっていくことが多い。まだ仮面ライダーに触れたことのない方はこれを機会に、触れたことのある方はいま一度、本編と主題歌との関係性に触れ、それぞれがドライブしていく様を見届けてほしい。

（※1） https://www.kamen-rider-official.com/riders/4