そうした藤ヶ谷の立ち振る舞いについて、笑福亭鶴瓶は昨年12月に出演した『あさイチ』（NHK総合）で「テクニックじゃない」と話していたことがある。そして、軽く胸を叩いて見せ「ここが良い」と続けていた。スターのオーラを持ちながらも、それをあえて消して“普通“になることができる。このときの“普通”とは相手を引き立て、心地のいい空間を作れる側になれるということ。それは個性をアピールし、全力で爪痕を残そうと誰もが前のめりになる芸能界において、決して簡単なことではなさそうだ。

　昨年、中居が療養のために休業したとき、レギュラー番組である『中居正広 ON & ON AIR』（ニッポン放送）、『ザ！世界仰天ニュース』（日本テレビ系）の両方で、ピンチヒッターとして藤ヶ谷に一番に声をかけたのは、“藤ヶ谷なら先輩たちとうまくやってくれるだろう”という確信があったからに違いない。そして、見事にその期待に応えたことで、さらに信頼度は高まったと思われる。

　ほかにも、「自分が死ぬ前までに、この人にはこの時計、この人にはこの時計っていうふうにして渡していこうかなっていうふうに思ってる」という中井貴一からも「藤ヶ谷にも残しとくからね」と言われているという藤ヶ谷。

　モノを譲られるということは、その人の想いの部分を受け継ぐことと等しいように思う。長年芸能界を盛り上げてきた先輩たちが、“この人になら“と託したくなる後輩、それが藤ヶ谷太輔という男なのだろう。ファンのみならず、芸能界の先輩たちも温かな眼差しで見届けている藤ヶ谷の成長が、ますます楽しみだ。