EXILE SHOKICHIが振り返る『iCON Z』第二章 プロデュースを通して実感したアーティストの個性を育てる大切さ
SHOKICHI自身が“とてつもないやり甲斐”を感じた瞬間
――すでにデビューしているEXILE TRIBEを見ても、年々、個性を重んじる傾向が強くなっている気がしますね。
SHOKICHI:これは僕個人の考えですが、EXILE TRIBEはもともとデュオが多かったので、調和の取れたハーモニーを届けるために、あえて似たような声質のボーカルを集めていたと思うんです。でも、ここから先は全員がマイクを持つことが当たり前になっていきますし、次世代に刺さるパフォーマンスという意味でも、今彼らに求められるものは“個”の強さ、それが合わさった時のパワーや化学反応なんじゃないかなと。EXILE TRIBE以外のアーティストを見ていてもそう思いますし、先にデビューしたLIL LEAGUEが1stシングルから好成績を残していることも、僕の自信に繋がっています。
――LIL LEAGUEも「最終的には、世界で活躍できるアーティストになりたい」と話していましたが、SHOKICHIさんの根底にも「グローバルアーティストに育てたい」という想いはあるのでしょうか?
SHOKICHI:確かに世界は見据えていますけど……難しい質問だなぁ(笑)。今グローバルに活動をしているアーティストを見ると、昔の音楽シーンよりも自由度が高いなって思うんですよ。僕の世代のミュージシャンは、ギターを弾いてフォークシンガーとして世に出たら、それを突き詰めるのが主流だったから。フォークソングは得意だけど、ヒップホップの曲は歌えないし、ラップもできないっていう人が多かったんです。でも今は、フォークっぽい曲もラップも歌えてダンスもできる、オールマイティなアーティストが多いから、その中で活躍するためには、自分の武器が何かをしっかりとキャッチして、その才能を爆発的に伸ばさないといけない。それは日本でも海外でも、変わらずに求められることだと思います。若い世代が世界を夢見る気持ちもわかるし、“世界を目指す”ことが当たり前の世の中になればいいな、とも思いますけどね。“世界”が軽く口にできる言葉ではないことは、僕も身を以って知っているので。厳しいことを言うようですが、みんなを応援しているからこそ、まずは唯一無二のアーティストになって、“世界”という言葉に説得力を持てるようになってほしいですね。
――その先に、自然と世界が見えてくるんでしょうね。とはいえ、国内ではすでに多くの方に注目されているようで、「LOVE RED」はSpotifyのバイラルトップ50(日本)のウィークリーチャートで、3週連続1位を獲得。「C’mon」も同チャートの最高7位、「RAGING BULL」は最高4位を獲得しました。この結果をどうご覧になっていますか?
SHOKICHI:その再生数がポイントとなり、彼らのデビューが決定したので、たくさん曲を聴いてくださったみなさんにはとても感謝していますが、今回の3曲に関しては、まだMVをお見せしていないこともあり、チャートの結果=どのグループが秀でている、ということではないと思っています。3曲とも、現時点でお届けできる最高のクオリティだと思いますし、レコーディングした時と今を比べてもレベルアップしているので、順位だけにとらわれないでほしいですね。ただ、今後楽曲を制作していく上では、確実にこの課題曲が軸になると思っていて。実際に今も、課題曲の制作を通してわかってきたことを踏まえて、デビュー曲を制作しています。
――“課題曲の制作を通してわかってきたこと”というのは、メンバーが得意とする音域や歌い方、好む曲調など?
SHOKICHI:あとはグループの特色とか、各自のポテンシャルですね。課題曲の時はそういうものが見えていなかったので、とりあえずメンバー自身に歌いたいパートを選んでもらって、後から歌割を調整したんですけど、今はみんなの特性をある程度理解した上で制作しているので、より一人ひとりの魅力を感じてもらえる楽曲が仕上がるんじゃないかなと思います。どういう内容の楽曲か、具体的なことはまだお伝えできないんですけど。例えば、大人数でのパフォーマンスが強みのTHE JET BOY BANGERZは、これまでAメロ→Bメロ→サビという展開で曲を作っていたところを、新曲ではA1メロ→A2メロ→A3メロ→A4メロ→B1メロ→B2メロ……くらいまで細分化していて。「このフレーズはこの子に合うだろうな」「ここで一斉にみんなの声が入ってきたらカッコいいかな」といったことを考えながら制作しています。
――ということは、次回の歌割はSHOKICHIさんが決めるんですか。
SHOKICHI:おそらくそうなりますね。でも、自分たちでもわかると思いますよ。「ここは自分だな」「ここは彼のパートだな」って。それに、自分が歌いたいと思っていたパートがもらえなかったとしたら、それって僕らからのメッセージだったりもするんですよ。「この部分が足りないから、まだこのパートは任せられないよ。頑張って」っていう。メンバーのみんなには、そういう意図をちゃんと汲み取って、自分のスキルアップに繋げていってほしいなって思います。
――SHOKICHIさんがプロデューサーとしてやり甲斐を感じるのは、どういった瞬間ですか?
SHOKICHI:昨年5月にLIL LEAGUEのグランプリを告げた武道館公演は、感慨深いものがありましたね。コロナ禍真っ只中でオーディションが始まり、締め切りに追われながらたくさんの課題曲を制作してきたわけですが、それを若い世代が歌って、ファンのみなさんが観て、涙したり、喜んだりしているのを目の当たりにして……これはちょっと、ハンパないなと(笑)。とてつもなく、やり甲斐を感じました。素直に、とっても嬉しい光景でした。あの光景をまた見るために、もっともっと良い曲を書きたいなと思っていますし、次の楽曲も彼らのファンの方々のことを考えて書いています。
――以前のインタビューで「ここ数年は『iCON Z』でプロデュースをするにあたって、自分の年齢設定を18歳くらいにして曲を書くことが多かった」(※1)と話していたように、今年もフレッシュな曲作りが続きますね。
SHOKICHI:そのために、TikTokやInstagramで、Z世代の子たちの考え方や流行を学んでます。俺にはこの可愛いダンスは踊れないなぁ……って思いながら(笑)。でも、若い世代の曲を作る時って、他人の人生を生きている気持ちになれるから楽しいんですよね。何十人といるメンバーの視点で、何回も何回も青春をやり直している感覚なんです。その分、自分が大人になるスピードが上がるというか、自分の人生が前世みたいな感じ。だから、今の僕、1500歳くらいだと思います(笑)。
――仙人レベル! その感覚がご自分の歌に還元されたら、どうなるんでしょうね。
SHOKICHI:それが今、すごく楽しみなんですよ。EXILEやEXILE THE SECONDとして作る曲はまたベクトルが違うんですけど、ソロ曲はある程度好き勝手に書けるので。『iCON Z』出身のグループの行く末と共に、1500歳のSHOKICHIのソロ活動にも注目してほしいなと思います(笑)。
――では最後に、『iCON Z』出身の4グループへのエールと、読者のみなさんへのメッセージをお願いします。
SHOKICHI:まず、今回新たにデビューが決まったKID PHENOMENON、WOLF HOWL HARMONY、THE JET BOY BANGERZは、夏に夢者修行が決定しているんですが、8月23日の同時デビューに向けて1ミリでも成長できるように、充実したスキルアップの期間にしてほしいですね。今後も彼らの前には、いろんな壁が立ちはだかると思うんですけど、ピンチの時に自分を救うものは、これまでに培ったスキルだけなので。たとえ、その状況から救ってくれる人がいても、自分で自分の心を救えるものがないと相当辛いので……。LIL LEAGUEも含めて、あと50倍くらい成長してほしい(笑)。僕からみんなに言いたいことは、それに尽きます。その一方で、一生懸命に夢を追いかけるメンバーの姿から、僕もたくさんの勇気や夢をもらっているので、その感動をたくさんの方と分かち合えたらいいなと思いますね。『~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z』は最終回を迎えましたが、『iCON Z』から誕生した彼らの旅は始まったばかりなので、引き続き応援よろしくお願いします。
※1:https://realsound.jp/2023/02/post-1262438.html
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