くるり、BLACKPINK、tamanaramen……バングラディシュにルーツを持つシャラ ラジマのディープな音楽愛

いつどんなきっかけで扉が開かれるのか、分からないから面白い

ーーミュージシャンの友達が多いとのことですが、シャラさんはラッパーのKOHHさんやMony Horseさんと出身校が同じだそうですね。

シャラ:Mony Horseくんは1個上の先輩です。交流はそんなになかったんですけど、Monyくんは足が速くてサッカーも強かったので、私たち後輩はみんな知っている存在でした。大人になってから地元の友達と話している時に、「先輩がラッパーになったらしいよ」と聞いてびっくりしましたね。「Monyくんって、YENTOWNのMony Horseなの? めっちゃ有名じゃん!」って。KOHHさんとは学生時代は面識がなかったんですが、もちろんKOHHというアーティストは知っているし、曲も聴いているというなかで、実際にお会いするタイミングがあって、同じ中学だと知って。ということは、(「友達」の歌詞に出てくる)〈五丁目団地〉ってあの団地だよね? という感じで衝撃的でした。KOHHさんとMonyくんは幼なじみらしく、そこで初めて「王子ってヒップホップタウンなの?」と思って。

ーーシャラさん自身は、ヒップホップシーンが盛んな地域だという実感はなかったんでしょうか?

シャラ:そうですね。9〜10歳の頃からずっと王子で育ってきて、他の地域のことをよく知らなかったから、王子がこんなにディープな場所だということを知ったのはむしろ大人になってからでした。でもいざ仕事をするようになったら、王子の外の人は、おしゃれでファンシーな育ちをしている人が多いなと思って。……ファンシーな育ちって何(笑)? 今自分で言いながら笑っちゃいました。

ーー(笑)。

シャラ:さっき話したように、10代後半からライブハウスで友達ができるようになったんですけど、友達の友達に、まだ有名になる前のTohjiさんがいたんですよ。その流れでTohjiとかJUMADIBAとか日本語のヒップホップを少しずつ聴くようになって、KOHHのラップで、自分が東京で育った社会構造の背景を知っていったような流れでしたね。

ーーそして最近はヒップホップから派生してブラックミュージックも聴くようになったと。他に現在進行形でハマっているアーティストはいますか?

シャラ:今まではアイドルには興味がなかったんですけど、最近唯一ハマったアイドルがいて。BLACKPINKにはさすがにハマりました。『コーチェラ・フェスティバル』のライブ映像に衝撃を受けて。LISAの顔が大好きだし、顔以外も全部大好き。筋トレの時にめっちゃ聴いてます。BLACKPINKに元気づけられながら鍛えています。10代の頃は尖っていたから「私、テクノしか聴かないし」と思っていた時期もあったんですよ。だけど今、アイドルを応援している人たちの気持ちが少しだけ分かるようになった自分がいて。音楽って、いつどんなきっかけでそのジャンルへの扉が開かれるのか、本当に分からないから面白いですよね。

ーー確かに、今まで良さが理解できなかったものを突然好きになる瞬間ってありますよね。その瞬間「もっと早く出会いたかったな」と思うけど、同時に、自分の人生のフェーズを踏まえると今出会うのが必然だったんだろうなとも思う。つまり、好きになったものの魅力的に感じられる部分と自分の人生の課題が符合しているように感じるというか。

シャラ:そうなんですよね。私がBLACKPINKにハマったのも今だからこそなんだろうなと思うんですよ。元々は容姿に無頓着で、自分をよく見せようという気持ちがあんまりなかったんですけど、「自分を魅力的に見せたいな」「どうやったらもっと美しくなれるんだろう」と考えていた時期にたまたま『コーチェラ』の映像を観てBLACKPINKに出会ったから、「LISA、かわいい!」と思って。さらに、「しかも顔だけじゃなくて動きまでかわいい」「ということは、指先まで神経が行き届いているんだろうな」というふうに思ったんですよね。今になって振り返ると、ヒップホップをカッコイイと思うようになったのは、自分自身の中にあるマイノリティ性を自覚して、「カウンターカルチャーってこうやって生まれるのかな」と自分や周りの友達を通じて感じられた時期でした。だから、自分の人生の課題と符合しているという感覚はすごくありますね。10代の頃は尖っていたけど、歳を重ねるほど、いいと思えるものの領域が広がってきている実感があって。「うわ、この良さが分かっちゃった!」という瞬間って本当に嬉しいんですよね。今後もそういう瞬間がたくさんあるんじゃないかと、自分自身に期待しています。

ーーまた新たな出会いがあったら、ぜひ『シャララ島』で聞かせてください。ところで、こんなに音楽が好きなら、自分で音楽活動を始めてみてもいいのでは?

シャラ:……! 今言われるまで考えたことすらなかったです。でも、そうですよね。人って何でもできますもんね。最近、友達の家に行った時にDJの練習をさせてもらったりしているんですよ。楽器ができない私が、一番簡単に鳴らせるのはミキサーなんじゃないかと思って。音楽ってやってみると楽しいですよね。ミキサーでこんなに楽しいなら、楽器ができる人たちはめっちゃ楽しいじゃんって羨ましく思うこともあります。

■ラジオ情報
bayfm「シャララ島」
毎週金曜日28:00~28:27
bayfm『シャララ島』オフィシャルサイト
https://www.bayfm.co.jp/program/shara/

シャラ ラジマ アミューズWEBサイト
https://www.amuse.co.jp/artist/A8976/

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