中村ゆりか×仲野温、役を通して体験した“港区女子”を取り巻くリアル 「救いようがなく、どこまでも落ちていく」

 YouTubeチャンネルにて短編ドラマ『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』の配信がスタートした。本作は、モデル/アーティスト・弓ライカの詩を原案に『この恋イタすぎました』(日本テレビ系)などを手掛ける妹尾ユウカが脚本をつとめ、港区女子がとある配信者によってネットで“晒されて”いく様子を描く。

 また、主題歌「美しく、憐れ。」「紅い純情」も弓ライカが作詞/歌唱を担当している。今回リアルサウンドでは主演・林リナ役の中村ゆりかと、美容整形外科医・陸雅也役の仲野温にインタビュー。2人が現場で感じた生の声をたっぷりと聞いた。(Nana Numototo)

「今の時代に対して刺さるドラマ」(仲野)

ーー『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』の脚本を読んだ時にどのような印象を持ちましたか。

中村ゆりか(以下、中村):港区女子の生き方については知らなかったので、「今回はそれが映像化されるんだ!」と思いました。この作品はキラキラ生きている女の子の裏を暴くという話なので、港区女子の生き様がドラマとして面白そうだしやってみたいなと思いました。

ーーなるほど。

中村:女の子って、ちょっとゾクゾクした話が好きだったりするので。少しドロドロした複雑なものが入り交じった群像劇が好きな人は多いと思います。だから楽しんでもらえたらいいなという気持ちですね。

ーー仲野さんはいかがでしたか。

仲野温(以下、仲野):僕も中村さんと一緒で、経験のない分野でした。でも最近は“パパ活”などの話を耳にすることも多いですし、それこそスキャンダルされている人もいるので興味はありました。僕もユウカさんに本当にああいう感じなのかと聞きたいです。一般的にドラマの中で描かれる“パパ活”や“不倫”などをする方々へのイメージはよくないかもしれませんが、そういう人たちも魅力があるからこそそういうことが起こるわけで、それもまた面白いですよね。陸先生を演じてみて、その人たちの気持ちも少しわかるようになったかもしれません。東京は誘惑も多いし、判断を間違えるとモラル的によくない方向に進んでしまうことがあるかもしれない。社会風刺というか、今の時代に対して刺さるドラマだなと思いました。

中村ゆりか

ーーお2人は元々妹尾ユウカさんの作風はご存知でしたか。

中村:バラエティ番組で妹尾さんを拝見していました。

仲野:最近よくコメンテーターをされていますよね。

中村:バサバサと切っていくようなトークが魅力なので、女の子ファンが多いと思います!

仲野温

ーー妹尾さんの脚本という部分になにか感じたことはありましたか。

仲野:モノローグのところなどは言葉選びがうまいと感じました。直接的に伝えない日本語の美しさというか、分かる人にだけに分かる伝え方をしていますよね。モノローグってどうしても説明台詞になってしまうところがあるけれど、今回は決まった時間でストーリーを伝えないといけない中、リナの長めの文章を綺麗に収めているのがすごいと思いました。

ーー中村さんは実際にモノローグを演じられてみて、いかがでしたか?

中村:割とシンプルでストレートに伝えてくれているので、言葉に説得力がありますよね。だから私もお芝居でリナの台詞を口にするときに、彼女の思っていることがしっかり自分の心に入ってきます。妹尾さんは二十歳前から恋愛コラムなどを書いていらっしゃるので、その時点ですごい方ですよね。とても影響力が強いので、その頃から女の子の背中を押したり、ストレートに思っていることを言葉にすることで女の子を救ってきた方なんだなと尊敬しました。

ーー今回演じてみて中村さん自身が共感した部分はありましたか。

中村:リナはわかりやすく本心をさらけ出すことはせず、殻を作っているというか守りに入っているところがある。ティザー映像にも「自分の価値を他人が決めて、それが自分の価値になる」という言葉があるのですが、そういうことは日常にも少なからずあるのではないかと。仕事でも、自分が人にどう見られているかを気にすることはあると思いますし。リナの場合は、それを繊細に抱え込みすぎて「晒す配信者」になってしまった、という感じですね。

ーー妹尾さん脚本の“女性が共感する部分”について、仲野さんにはどう映りましたか。

仲野:一度違う作品でご一緒させてもらったときもそうだったのですが、妹尾さんの脚本は綺麗にまとまらないんですよ。普通ドラマでは展開を作るために、助けられないようなことも助けることが多いのですが、妹尾さんの場合は救いの手などなくとことんリアルを追求するので、どん底までいってしまった姿も全部映してしまう。それは僕としてもすごく新鮮でした。妹尾さんだから書ける脚本だなと。毒舌なイメージのある方ですが、的を射ているからこそ説得力が出るし、そこが妹尾さんの魅力。共感というよりは新鮮に映りました。

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