ヤングスキニー、自由なマインドで追求する“自分たちだから鳴らせる音楽” バンドの楽しさや意外な目標も明かす

 2月8日にデジタルシングル「らしく」でメジャーデビューを果たしたヤングスキニーが、3月15日に1stフルアルバム『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』をリリースした。バイラルヒット中の「本当はね、」やライブでの人気曲「美談」、未発表曲「夜のままで」などを含む計10曲を収録した同作は、これまでのヤングスキニーの集大成であり、新たなスタートラインとなる作品だ。

 今回は、メンバーのかやゆー(Vo/Gt)、ゴンザレス(Gt)、りょうと(Ba)、しおん(Dr)にインタビュー。メジャーデビューでの変化やアルバムの制作秘話、今後の展望について語ってもらった。(伊藤美咲)

【全曲トレーラー】ヤングスキニー 1st Full Album「歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた」

「飽き性の自分が、唯一飽きなかったものがギター」(かやゆー)

――改めて、メジャーデビューおめでとうございます! 心境の変化や周りからの反応はいかがですか?

かやゆー:メジャーデビューをした途端に何かが変わることはなかったですけど、半年前くらいから関わってくださる人の数が増えたことで「メジャーデビューするんだ」という自覚がだんだん芽生えてきました。

しおん:昔働いていたバイト先の先輩や学生時代のクラスメイトから「おめでとう、いつも聴いてるよ」と連絡をもらいました。1月にあった成人式でも、知らない子から「写真撮ってください」と言われて。

りょうと:僕も中学と高校で通っていた塾の先生から「おめでとう」LINEが来ました。

ゴンザレス:僕は高校の担任の先生から、ショートメッセージで連絡が来ました。

かやゆー

――バッググラウンドの異なる4人ですが、それぞれどんな思いを持ちながら音楽活動をしているのでしょうか。

かやゆー:僕は趣味として音楽を続けてきたので、いい意味で、そのスタイルは崩したくないと思っています。音楽をやっているのは誰かを救いたいとかではなく、自己満足なんですよね。僕は基本的に飽き性で何でもすぐ辞めちゃうんですけど、唯一飽きなかったものがギターなんです。ライブをするのも、自分が楽しいからやるだけというか。もちろん仕事にするからには、大変なことややりたくないこともあるだろうけど、音楽を好きでいないと曲を作れないと思うので。

――音楽に対してすごくナチュラルですね。過度な憧れがないというか。

かやゆー:そうですね。憧れのミュージシャンはいますけど、「こういうふうになりたい!」と思ったことはないです。

――しおんさんはどうでしょう?

しおん:僕は、ドラムを始める前は何をやっても上手くいかなかったんです。中学生の頃に本気で取り組んでいたバスケットボールはいつも6番目の選手だったし、他の習い事も全部中途半端に終わっていて。その後、高校生の頃にONE OK ROCKに憧れてドラムを始めたら、「もしかしたらセンスあるかもしれない」と思って。それからドラムが自分も周りも認める唯一のものになって、ドラムを職業にすることを決めたんです。

――紆余曲折あって、バンドマンを目指すことを決心したんですね。

しおん:バンドマンではなく、スタジオミュージシャンになろうと考えたこともあったんです。でも、やっぱりバンドを組んでメンバーと音を鳴らしたいと思ったときに、ちょうどヤングスキニーのメンバー募集をSNSで見かけたんですよね。それまで見ていた他のバンドのメンバー募集は全部スルーしていたんですけど、ヤングスキニーはすぐにDMを送りました。ヤングスキニーに入ってからは自分のことを認められるし、お客さんがいるということは周りからも認められている証拠だと思っています。ヤングスキニーは自分を一番出せている場所だし、僕が今ここにいることは、元々決まっていたことなんじゃないかなと感じますね。

しおん

――りょうとさんは?

りょうと:僕は高校生の頃にバンドを組んでいたんですけど、大学では建築学科に進み、学業に集中するつもりだったので、大学に入るタイミングで音楽を辞めようと思っていたんです。でも、やっぱり音楽をやりたいなと思って。大学の軽音部で前にドラムを担当していたメンバーと出会って、「これで最後にしよう」と決めて入ったバンドが、ヤングスキニーです。

――建築よりも音楽を選んだということは、バンドの良さを感じていたということですよね。

かやゆー:けど、バンドを組んでから1~2年は、どっちも中途半端だったよね。「授業があるからこの日は無理」とか「授業あるけどバンドの方に行く」とか。今も大学は休学中だし(笑)。

りょうと:今はちゃんとヤングスキニーに集中してます(笑)。

りょうと

――ゴンザレスさんはどうですか?

ゴンザレス:僕もしおんくんと同じで、今まで色々挑戦はしたけど全然上手くいかなかったんですよね。昔は野球をやっていたんですけど、あまり好きじゃなかったですし。大学生で「弾けたらかっこいいだろうな」と思っていたギターを始めて、ヤングスキニーとしてメジャーデビューできたことは、初めての成功体験になりました。誰かと一緒に好きなことをやって成功するというのは、僕にとってすごく貴重な体験です。

――誰かと一緒に何かを成し遂げることに憧れが?

ゴンザレス:僕は、自分が作り出したもので相手を楽しませたいという気持ちがあるんですよね。だから音楽に限らずYouTubeの映像編集もしていますし、今後は僕も作曲できるように勉強中です。かやゆーが作るヤングスキニーの楽曲もあるけど、楽しいものの数は多い方がいいじゃないですか。0から1を多く生み出せるように、頑張っているところです。

ゴンザレス

「ごめんね、歌にして」の完成がアルバムタイトルの決め手に

――1stフルアルバム『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』は、まさにヤングスキニーの名刺代わりとなる1枚だと思いますが、どんな作品に仕上がっていると感じていますか?

かやゆー:「ヒモと愛」みたいなバンドらしいロックチューンだったり、「コインランドリー」のようなチルアウトできる楽曲だったり、幅広いジャンルが詰まった作品になっていますね。1枚通して、飽きずにワクワクして聴けるアルバムになっていると思います。

――タイトル含めて歌詞も全部日本語ですが、こだわりがあるのでしょうか?

かやゆー:強いこだわりを持っているわけではないですけど、日本語の方がわかりやすいし伝わりやすいのかなとは思います。あとは、単純に英語の曲名がつけられないという(笑)。

ヤングスキニー - コインランドリー【Official Lyric Video】

――ヤングスキニーの楽曲は、等身大の言葉がリスナーの共感を生むという点がひとつの魅力になっていると思います。曲の世界観やイメージはどのようにメンバーと擦り合わせをしていますか?

かやゆー:僕からメンバーに「これはこういう曲で」と説明することはないですね。自分でも説明できないので、「勝手に読み取ってくれ」って(笑)。

しおん:僕は歌詞を重視して聴くタイプで、かやゆーくんが送ってくれる弾き語りのデモを聴いて、歌詞の世界観や雰囲気を汲み取ります。それからドラムのリズムパターンやアプローチの方法を考えていますね。

りょうと:僕はあまり歌詞を見てないんですけど……。

――見てないんですか(笑)。

りょうと:でも、要所要所のワードを汲み取って雰囲気を想像しています。

ゴンザレス:僕はどちらかというと、歌詞よりも音を聴いてアプローチを考えていくタイプですけど、最近は歌詞の単語からイメージをすることもちょっとずつ増えてきました。

――アルバムタイトル『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』は「ごめんね、歌にして」の歌詞の言葉ですが、これを選んだのはなぜですか?

かやゆー:1年前くらいに「ごめんね、歌にして」ができたときから、この言葉がめっちゃいいと思っていて。そのときから1年後にアルバムを出すことが決まっていたので、他の曲はまだできていなかったけど〈歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた〉をアルバムのタイトルにしたいと決めていました。後づけなんですけど、歌にしちゃえば普段は伝えられない思いを伝えられるし、言いにくいことも誰かに届けられるのではないかという意味も込めています。

――この言葉には、自分の過去を肯定する意味も含まれているのかなと思っていたのですが、どうですか?

かやゆー:それも考え方のひとつですね。僕は意味をつけずに歌詞を書いているので、解釈をみなさんに委ねているんです。ファンから「これはこういう意味ですか?」と聞かれて、「その解釈の仕方かっこいいね」と返すこともありますし。

ごめんね、歌にして (Short ver.) 【Lyric Video】

――「夜のままで」は、かやゆーさんとゴンザレスさんの共作ですね。

ゴンザレス:今は作曲の勉強もしていますが、経験としてはかやゆーの作った曲への編曲しかやったことがなくて。YouTube内で僕とかやゆーのどっちが作った曲なのかを当てる企画をしたときに、その中の1曲が「いいね」となって、ショートチューンでリリースしようとなりました。なので、偶然の産物みたいな(笑)。5年、10年後に自分でも曲が作れたらいいなと思っていたので、こんなに早く形にすることができてよかったです。

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