2023.02.22 18:00

ASH DA HERO、アニメ『ブルーロック』OP主題歌で押し上げるミクスチャーロックの可能性とワンマンへの期待

文＝榑林史章

　2021年9月に結成された5人組ロックバンドASH DA HEROが、アニメ『ブルーロック』（テレビ朝日系）2クール目オープニング主題歌「Judgement」を含む、メジャー1stシングル『Judgement』を2月22日にリリースする。また、4月8日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でワンマンライブ『ASH DA HERO LIVE 2023“Judgement”』を行うことが決定している。

　『ブルーロック』は、「ブルーロック」と呼ばれる施設に集められた若きサッカー選手たちが、唯一無二のストライカーを目指してしのぎを削りながら生き残りを図るストーリー。エゴイスティックにゴールを狙えることが求められ、和を尊ぶ多くの日本人の精神性を覆す内容であることから、原作漫画は2018年の連載開始から話題に。2021年には、第45回講談社漫画賞の少年部門を受賞し、コミックス（22巻まで発売）の累計発行部数は2000万部を超える。そんな人気作品の待望のアニメ化とあって、オープニングテーマを担当するアーティストにも注目が集まった。しかし『ブルーロック』さながら、オープニングテーマを担当することができるのはたった一組だけ。1クール目では誰もが納得の、UNISON SQUARE GARDENの「カオスが極まる」が選ばれた。そして2クール目オープニングテーマとして、たった一組だけの栄光をつかみ取ったのがASH DA HEROの「Judgement」だ。

Judgement / ASH DA HERO

　ASH DA HEROが歌う「Judgement」は、死線ギリギリを渡るようなスリリングさを持ったラウドサウンド、声が枯れようがおかまいなしといった雰囲気で張り叫ぶハスキーなASHのボーカルが印象的。〈この世は2つに1つ奈落の底から這い上がれ〉と歌うサビの歌詞からは、シュートを決められる者しか存在が許されない「ブルーロック」という監獄を如実に表現しながら聴く者を鼓舞する。床を踏みならすようなWANIのドラムとSatoのベース、わめき散らすようなDhalsimのスクラッチ音、耳をつんざくNarukazeのディストーションギター。エゴを極めんとする各々の楽器演奏と歌が、渾然一体となって突進してくるようなラウドサウンドが、ミクスチャーロックの可能性をさらに高みへと押し上げている。また、ラップで歌うという意外性あふれる2番、ギターのフレーズと共にジャーンと鳴らして終わる古き良きスタイルのエンディング。人を食ったような数々の展開が隠された、大胆不敵な笑みを浮かべるような楽曲だ。

　ASH DA HEROは、2021年9月4日Zepp Tokyoでワンマンライブ『ASH DA HERO LIVE 2021“THE SHOW MUST GO ON”を開催し、それをもってソロプロジェクトとしての活動を完結させ、同時に新たに5人組ロックバンドとして始動した。ボーカルのASHは、人気コンテンツ『アルゴナビス from BanG Dream!』の劇中バンド・GYROAXIAのサウンドプロデュースや楽曲提供などを手がけているほか、『SK∞エスケーエイト』や『カードファイト!! ヴァンガード』シリーズなどアニメの楽曲を手がけ、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの碇シンジ役で有名な声優・緒方恵美の最新アルバム『劇薬 -Dramatic Medicine-』の収録曲「Breaking Dawn」を作曲・編曲、作詞を緒方と共作しており、アニメ／ゲームシーンとの親和性も高い。「Judgement」も作詞を担当し、作曲をASH DA HEROのギタリストであるNarukazeと共作、その才能とセンスがいかんなく発揮されている。

　2月22日にリリースするメジャーデビュー後初のパッケージシングルとなる『Judgement』には表題曲のほか、カップリングに「自分革命」と「最強のエンドロール」を収録。「自分革命」はサビを除く全編をラップで表現したエモーショナルな楽曲。ゾーンに入った時の何も耳に入らない静けさ、顎からしたたる汗が床で弾ける瞬間、轟音と共に目の前が開けていく。そんなヒリヒリとしたライブステージが浮かぶ。歌詞では〈崖っぷち片足立ちになっても笑おうぜもう1人じゃない〉と歌い、ソロプロジェクトからバンドとして再始動したASH DA HEROにとっての決意表明のような楽曲でもある。また「最強のエンドロール」は、青く儚い青春がエモーショナルに表現され、サビメロが胸の奥を掻きむしるようだ。ラストは〈最強のエンドロール見に行こうぜ〉と、ASHが楽曲の中から呼びかけてきて心が震える。

　ROCK、PUNK、HIP HOPをルーツとし、変幻自在なスタイルで表現されるASH DA HEROの音楽は、ストリートの片隅に生まれた、今を生きる者全ての物語だ。思い出の奥底にしまった青い記憶を引きずり出し、世間体や“良い子”の仮面を剥ぎ取り、そんなものは燃やしてしまえとばかりに火をつける。一人では這い上がれない泥沼で手を差し伸べ、最悪のエンドロールであっても見捨てず一緒に立ち向かってくれる。4月8日、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で開催のワンマンライブ『ASH DA HERO LIVE 2023“Judgement”』で魅せる、ASH DA HEROの生き様と唯一無二のドラマに刮目せよ！