賛否両論あった『第73回NHK紅白歌合戦』 氷川きよし、SEKAI NO OWARI、Vaundy、TWICEら新旧世代が知らしめた“時代性”
Vaundyは斬新なカメラワークで異例のパフォーマンス
ベテラン勢の現在地について考えさせられたと同時に、若手アーティストたちにもそれぞれの「時代性」があった。ウタ=Adoによる「新時代」と、ゲスト出演したサッカー日本代表・森保一監督が『ワールドカップ』で口にした「選手たちは新時代を見せてくれた」という発言にスポットライトをあてた映像は、まさにそれを象徴していた。
K-POPのガールズグループのIVE、LE SSERAFIM、TWICEや、日韓オーディション『Nizi Project』から誕生したNiziUのたたずまいは特に興味深かった。4組ともにクローズアップされたのが「衣装問題」。IVE、LE SSERAFIM、NiziUは紅組での出演でありながら全身白の衣装で出演したことで「視聴者の混乱をきたした」と報道されている。またTWICEは露出が多い攻めた衣装で登場したことで、『紅白』視聴者の一番のターゲットであるファミリー層や年配層への配慮が薄かったのではという意見もある。
しかし彼女たちは『紅白』の慣習にとらわれなかったのだと言える。自分たちらしさをアピールしたスタンスは、グループとしての矜持があった。またそういった声が“いちゃもん”のように聞こえるほど、各グループのパフォーマンスがすばらしかった。たとえばTWICEの「Celebrate」の〈Ta,tan,tala,tala,tan,tala……〉という箇所の振付は、テレビを見ながら真似したくなる可愛らしさがあった。LE SSERAFIMも、メンバーのSAKURAこと宮脇咲良はHKT48時代の『紅白』出場などについて触れず、あくまで「今」の自分を見せていたように感じた。グループ自体も歌やダンスをクールに決めるなど、LE SSERAFIMとしてのあり方を存分に発揮したのではないだろうか。
今回のベストアクトのひとりでもあるVaundyも、『紅白』ではあまり見たことがない歌唱スタイルだった。撮影するカメラが追い切れないほど、ステージを動き回ったのだ。後ろ姿で歌ったり、フードをかぶったりするなど、カメラにしっかり正対しないステージングが斬新。指をカメラに指しても手が顔とかぶってしまうなど、表情をはっきりと見せなかった。そこが『紅白』のなかでも異例のパフォーマンスに感じられた。あと驚いたのは、テレビ画面がドラムに向いたとき、いきなりVaundyの足がフェードインしてきたところ。一つひとつの場面がまったく予定調和ではなく、非常にスリリング。milet、Aimer、幾田りらとのコラボ「おもかげ」も4人が円になってステージの内側を向いて歌う姿は、観客や視聴者への「見せ方」として新しいものだった。
「新しい時代を切り拓いた」という点においては、三山ひろしの「夢追い人~第6回けん玉世界記録への道~」で恒例の「けん玉ギネス世界記録」が成功したことも話題として挙げておかなければならない。三山の歌唱が終わっても続けられるけん玉。誰もが固唾を飲んでそれを見守ったのではないか。
近年でもっとも賛否両論があったように思える『第73回NHK紅白歌合戦』。しかし筆者は、新旧世代のギャップとまじわりが強調された、きわめて異質であり、そして「新時代」の扉がひらかれた放送回だと感じた。
※1 https://www.instagram.com/p/CjrbxGnPdnz/
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