C&K、原点に立ち返って生まれた2人だけのスタイル ダンスあり、バラードありの“OILY”な1枚で伝えたいテーマ

「“ダンスイベントで育ったC&K”と言っても過言ではない」(KEEN)

ーー「Brand New Days」はワークポートのCM曲で、11月からオンエアされるCMで四池さん(C&Kファンの愛称)と共演されているんですよね。

KEEN:実はまた文教大と、キャンパス周辺の街並みを使わせてもらって。四池さんたちにはエキストラとして街行く人々を演じてもらっています。

ーー明るくポップな感じのサウンドで来るのかなと思いきや、アンニュイな感じで始まるのもいいですよね。

KEEN:まさに平凡な日常をトラックで表現したような感じですね。ループしていく感じもそうかもしれない。

ーー個人的に8曲目の「上を行くメイク」がすごく好きなんです。ライブDJのTAKEさんやスタッフの方と一緒にエアロビを踊るという80年代風ポップ感もやたら楽しくて。リリース前にこの曲で鹿児島の鹿屋女子高校音楽部の生徒さんとコラボされましたが、ああいう場ならたとえばじっくり聴かせるバラードとか、ほかにも候補曲があったのでは? とちょっと不思議に思いまして。

KEEN:僕らの捉え方としては、これもバラードなんですよ。〈悲しみは ひつまぶし〉とか適当そうなことも言ってますけど、すべて上手い具合に歌詞の中で処理できているので、手前味噌ですけど、かなり技ありなバラードになっていると思います。この曲は普通にバラード曲にしてしまったら脂っこすぎちゃうので、こういう感じで表現したほうがあっさり聴けるし、でも裏にはシリアスなメッセージも込められているというね。

 ツアーに来てくれた方々と最後に撮影会をやったんですけど、「今日のライブのどこが良かったですか?」って聞いたら、ほぼ100%に近い割合で「この曲が良かった、エアロビが楽しかった」と言ってくれて。他のバラードも良かったって言ってほしかったですけど(笑)。

ーー音楽的にこういうキラキラしたアレンジにしようというのは、どなたの案だったんですか?

CLIEVY:僕ですね。最初からエアロビをやりたくて、でも内容的に熱いメッセージも入れたかったので、その熱量を隠す形で“実験”してみたら見事に成功した曲です。バラードをこういう形で表現したらお客さんに意外と刺さったというのは、新しい発見でした。バラードだろうがそうじゃなかろうがもちろん一生懸命歌うんですけど、自分の中での正義、こだわりと人の評価はまた別のところにあるんだと考えれば、もっとどんどん自由にやっていけるんじゃないかと思いましたね。最初に感想を聞いた時にはガクンとはなりましたけど(笑)。

KEEN:2人して「今日のバラードは結構刺さったんじゃないか?」みたいな手ごたえを感じた日もあったんですけど、そのバラードには一切触れてもらえなくてね。

CLIEVY:逆に爽快だったよね。

ーー(笑)。「ガン見しとけ! for DANCER」はパンチのあるサウンドで。これはお2人と親交のあるGANMI(BTS「Butter」の振付などに参加した、世界的に注目を集めるダンスチーム)とのコラボ曲的な扱いなんでしょうか?

CLIEVY:最初はこの曲で普通にコラボしようと思っていたんですよ。でもどこを切り取ってもTikTokとかで面白いダンスが作れるような曲だし、ダンサーと名乗るすべての子たちに使ってもらえるように、タイトルに“for DANCER”を付けました。GANMIとのコラボ曲的な雰囲気を匂わせつつも、全方位で「ダンスでコラボしようぜ!」みたいな。

KEEN:昔の僕らのマネージャーが今GANMIを手掛けているので、僕らの楽曲をダンスでカバーしてもらったこともあって。

ーーC&Kは純然たるダンスボーカルグループではないけれども、ライブではダンスチームのZEROSENをメンバー的に迎えていたり、振りがある曲も多いですよね。過去にはs**t kingzとのコラボもあったので、ダンスに強い思い入れを感じる部分があるなと思っていました。

KEEN:「ダンスイベントで育ったC&K」と言っても過言ではないくらい昔はダンスイベントに出ていたので、ダンサーからのレスポンスが良くて「あの人たち、歌ってるけどダンサーだよね」って言われたことがあるんですよ。歌とダンスが一体になっている、みたいな意味合いでね。ダンサーのみんなはチームとして僕らの音楽をグルーヴさせてくれる大切な要素なので、そこをフックアップするという試みはずっと続けていますね。

ーーまた、〈ヒジヒザマリーミー〉のワードセンスが鮮やかで(笑)。

CLIEVY:こういうダンス(肘と膝をくっつける振り)にしようと思って「もう肘と膝で結婚したらいいやん!」みたいな感じで、2秒ぐらいで思いつきましたね。今までならそういうことは書かなかったと思うんですけど、さっきも言ったように人の評価は意外と自分の正義、こだわりとは関係ないところにあると気づけたからこそ「音に乗せたら良かったから、これで行こう」となりました。

ーーそれで言ったら次の「メリチキ」もすごく伝わりやすい直感ワードですよね。

CLIEVY:あれは5秒ぐらいで浮かんで。「クリスマスが来た!」的なフリを一生懸命Aメロで入れて、キラキラした恋人たちのクリスマス的な情景を描けば描くほど、サビでチキンのネタが来た時のガックリ感がすごい。〈冬枯れの街路樹〉とか、普段の生活で使うことのないワードを全力で盛り込むことによって生まれるギャップだけが楽しみで書いてましたね。で、〈インザハウス!!〉が降りて来た時は自分でも「おお!」と思って。

KEEN:西洋かぶれをディスるというか、「それもどうかと思うけど?」みたいな流れなのに、自分が〈インザハウス!!〉を使ってるっていう。

ーーたぶんライブで聴くお客さんも、あまりのゆるさに飲んでないのに飲み会みたいなモードになると思います。

KEEN:まさにパーティーな感じですよね。恋人たちのというより、家族や友達たちのクリスマス。

CLIEVY:一応ファストフード店からのオファーに備えて、〈予約 予約〉って歌ってるんですけど。

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