Benlou、2人の音楽性が融合した新曲「ミラージュ」 ユニークなユニットの予測不能なポテンシャル
そして今回リリースされる「ミラージュ」は、前作のドリーミーかつ都会的な音像から一転、土埃の匂いを感じさせるフォーキーな楽曲だ。乾いた4つ打ちキックに導かれ、山本によるアルペジオが鳴り響き、その隙間を縫うようにハモンドオルガンが駆け抜けると、サビから始まるメロディで一気に最初のピークを迎える。重心を落としたレイドバック気味のドラムとコントラストをなすように、ベースラインはルートの音を避けて進むことで楽曲に得も言われぬ浮遊感を与えている。そこは山本のアレンジ力はもちろん、前作に引き続きレコーディングに参加したくるりの佐藤征史（Ba）、元MUTE BEATの屋敷豪太（Dr）、そして好芻のレコーディングにも参加している西野恵未（Key）らのプレイヤビリティ、ミックスを手掛けた小森雅仁の手腕によるところも大きいのだろう。
なお、山本のギターは前述のアルペジオに加え、エレキのミュートカッティングやアコギによる軽やかなバッキングなど数本がオーバーダビングされており、「Ripple Mark」では控えめだったギターによるオーケストレーションを存分に堪能できるのも、この曲の聴きどころの一つ。さらにエンディングに向かって徐々にリバーブを深くしていくなど、遊び心あふれるスタジオワークからは、2人が楽しそうに音と戯れている様子が目に浮かんでくるようだ。
「Ripple Mark」そして「ミラージュ」と、全く異なるメロディ、アレンジ、サウンドプロダクションの楽曲を続けてリリースしたBenlouの音楽性を、今の段階で判断するのはなかなか難しい。近々発表されるであろう次作では一体どんなカードを切ってくるのか。彼らの「たくらみ」を楽しみに待ちたい。
■リリース情報
Benlou「ミラージュ」
2022年10月26日（水）配信リリース
ダウンロード／ストリーミングはこちら
＜楽曲クレジット＞
Songwriting：仙田和輝／山本幹宗（@Benlou_JP）
Arrangement：山本幹宗（@the_cigavettes）
Bass：佐藤征史（@Sato_Qrl）
Drum：屋敷豪太（@gotayashiki）
Keyboard：西野恵未（@xxxxxEMI）
Mix engineer：小森 雅仁（@mkmix4）
Jacket design：上野恒星（@Ueno1010）
