ヘヴィミュージックの枠にとどまらない自由な感性を持つ4人組 CrowsAlive、多様なルーツから成し遂げたい挑戦まで語る

 〈描いた理想像 ただ 足掻いてきた衝動〉(「Neo Romancers」)ーーヘヴィミュージックをはじめ、EDMから映画音楽、オルタナティブR&Bにフュージョンなどジャンルを横断する興味を優れたバランス感覚でまとめ上げる豊橋発の気鋭バンド CrowsAlive。彼らが、CrossfaithやSurvive Said The Prophet、BEFORE MY LIFE FAILSなどを輩出したレーベル<ZESTONE RECORDS>に所属し、配信シングル「Neo Romancers」を9月9日にリリースした。垢抜けたサウンドとは裏腹に、自らの「第二章」にかける想いは驚くほど泥臭く、沸々と煮え滾っている。ジャンルの括りがないサーキットイベント『TOKYO CALLING』でも剝き出しの衝動でみるみるうちにオーディエンスを味方につけていったKenta(Vo)、Ichi(Gt)、YUTA(Ba)、Kazuki(Dr)の4人に、ライブの熱も冷めやらぬなか話を聞いた。これまでとこれから、そして挑戦者として自らに課さずにはいられない厳しさについて。(清家咲乃)

「各々の通ってきたものが1枚のフィルターを通して表現できている」

ーーバンド活動の経緯をお聞きしていきたいのですが、まずは皆さんの出会いを教えてください。

Kenta:今まで6年くらい活動してきたんですけど、もともとはギター2人と俺の3人でやっていたバンドなんですよ。本当は5人でやりたくて、ライブではベースとドラムをサポートで入れて5人の体制でずっとやっていたんですけど、その中で出会ったのがKazukiとYUTAで、サポートの期間を経て正規メンバーになりました。

Ichi:2人が正式加入する日に僕は違うバンドで対バンしていて。ちょうどCrowsAliveから1人ギターが辞めるとなって、誘ってもらいました。

YUTA:自分は全然違うジャンルのバンドをずっとやっていて。それを辞めてから、自分が本当にやりたいジャンルは何なんだろうと思って、周りに「良いバンドで、ベースを探しているバンドはいないですか?」と聞きまくって。それで紹介してもらったのが、CrowsAliveでした。

ーー別のジャンルというと、どんなバンドを?

YUTA:ギターロックというか、日本語詞でガンガンやっているみたいなバンドでした。いくつかバンドに誘われたりしたんですけど、音源を聴いて、ライブも観させてもらって、このバンドがいいなと。

Kenta

ーーここまで活動されてきて、手ごたえみたいなものはどのあたりで感じましたか。

Kazuki:『RO JACK(for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018)』とかあったけどね。

YUTA:個人的には1st EP(『BIRTH』)を出した時に、やりたいジャンルみたいなものが固まってきたのかなと。

Kenta:電子音を入れたりとか、シンセを入れたりとか、結構振り切って曲作りをし始めた時に、しっかりハマったというか。やりたいことが見えてきたという感じはありました。

ーーMVにも相当なこだわりを感じました。メンバーの皆さんでコンセプトを考えてやってらっしゃるんですか。

Kenta:主に俺が考えて、メンバーに今回はこういう感じでいきたいというのを伝えて、監督と話し合ったりして。毎回ああだこうだ言いながら作っています(笑)。

Ichi:曲の世界観をより深く伝えるためにMVを作っている、というところですね。聴いて感じてもらって、観ても感じてもらって。

CrowsAlive - Twilight (Official Music Video)

ーー音楽的なバックグラウンドについてもお聞きしたくて。そもそも音楽にハマったきっかけは何でしたか。

Kenta:バンドをやりたいと思わされたのは、Linkin Parkですね。ボーカルのテクニックも、楽曲のクオリティにおいても。

Ichi:ギターを始めたきっかけはORANGE RANGEだったんですけど、小学校6年生の時に、マキシマム ザ ホルモンを聴いて激しい音楽に入っていって。そういう音楽を掘っていくうちに、同じ名古屋の大先輩 coldrainに出会って、そこから洋楽に入っていきました。

Kazuki:僕は最初にハマったのがインストミュージックでした。吹奏楽を高校の時にやっていたりしたので、フュージョンとかをメインで聴いていたんですけど、学園祭で仲間内のバンドでONE OK ROCKとかUVERworldをやろうぜとなって「なにそのバンド知らないんだけど!」みたいな感じで聴いて、喰らったかな。メンバーの中で僕だけ音楽の専門学校に行っていて、そこで講師の先生にVan Halenとかを教えてもらったんですけど、喰らったのはKoЯnですね。来日公演に連れて行ってもらって、もうその時はドラムが変わってレイ・ルジアーだったんですけど「これだ!」という。

CrowsAlive - Smoke Signal (Official Music Video)

ーーONE OK ROCKの前にフュージョンを聴いていたんですね。

Kazuki:ガチガチに。Jフュージョンが多かったですね。T-SQUAREとか、NANIWA EXPRESSとか。最近だったらSnarky Puppyとか、ギタリストのソロだとガスリー(・ゴーヴァン)とかを聴いて、インストの中でももっと自由度が高いものに触れていったという感じはありますね。

YUTA:自分は、洋楽を全然通ってなくて。マキシマム ザ ホルモンを兄の影響で聴いて、そこからベースを始めました。そこからメロコアとかパンク系を1回聴いて、ラウドもがっつり聴いて。coldrainとかSiMが盛り上がっている時にちょうど自分も「いいな」という感じになって。

Kenta:メンバーみんな結構バラバラですね。でも、それが自分たちの唯一無二を生み出している感じがします。

ーー曲を作る上で「こっちがいい」「いやこっちが」と揉めることはあまりないですか?

Ichi

Ichi:上手くまとまっているよね、最終的には。

Kenta:基本的に、俺とIchiがコンポーザーで曲を作っているんですけど、お互いにほぼ土台を作ってきて、それを共有して、さらに各々でフレーズを作ってくる感じです。軸になるものを作ってもらって、後はベースを入れたりする部分は任せたり。ドラムのフレーズは、俺が考えちゃったりするんですけど、最終的にKazukiと話し合って、レコーディングのギリギリまでやってますね。

Ichi:みんな違うルーツから持ってきたものが、1つにまとまって、自分たちにない要素を各々感じられていると思うんですよ。各々の通ってきたものがCrowsAliveという1枚のフィルターを通して表現できていると思います。

ーー最近の音楽で取り入れているものはありますか?

Kenta:意外とロックバンド以外からもインスパイアされた曲を作ることが多いですね。88risingのJojiとかkeshiとか。EDMとかをよく聴いていた時代が『BIRTH』というEPに影響を与えているんですけど、そこからいろいろな音楽を取り入れてはいます。

ーー『BIRTH』のリミックス盤が出ていますが、あれはどういった経緯で?

Kenta:まず、リミックスを出しているバンドって日本に全然いないじゃんと思って、やりたいなと。

Kazuki:そもそも『BIRTH』のツアーが(新型コロナウイルスの影響で)途中で中止になっちゃって、何かやれることはないかと探した結果でもあります。

ーーリミックスをしてもらった方は、どういうところで知り合ったんですか?

Kenta:1〜2曲目をやってくれたRAIKIRIとDpadsは同一人物なんですけど、もともと高校の時に一緒にONE OK ROCKのコピーバンドをやっていました。3曲目をリミックスしてくれたShuri Umemuraは、自分たちのホームの豊橋の後輩で頑張ってるなって思う子です。4〜5曲目のdr.Chemicalは東京のバンドなんですけど、僕たちも結構影響を受けていて。『BIRTH』というEPはEDMのフューチャーベースとオルタナティブを混ぜるところをテーマにして作ったんですけど、それはdr.Chemicalからの影響も結構デカかったりしますね。

CrowsAlive - BIRTH (Remixes) [Official Trailer]

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