TWICEメンバー分析 第2回:ジヒョのパフォーマンスが創り出す壮大な世界観 人間味あふれるリーダーとしての安心感も

 ジヒョが作詞を手がけたいくつかの楽曲には、怒りや恐怖、孤独が率直に表されている。

GET LOUD

 そのひとつ「GET LOUD」では、〈화려하게 포장이 된 거짓말 관심받고 싶었나 봐 쉽게 써 내려간 너의 거친 말 눈길조차 아깝잖아〉(煌びやかに包まれた嘘/注目を集めたかったみたいだね/簡単に書き綴られたあなたの乱暴な言葉/それを見るのすら無駄でしょう)といったリリックが並んでいる。同楽曲について、本人は「最近、自分の言葉が他人に深刻なダメージを与える可能性があることを考えていない人が多いようです。人は不用意な言葉で傷つくから、そんな言葉を言う人はもっと思いやりが必要です。私は、こうしたことについて歌詞にして、私の気持ちを表したいと思いました」(※1)と解説した。

 生きる上で自らの内に沸き起こる怒りをやり過ごし、なかったことにすることは、ある意味で機械的な態度である。反対に、自身が感じた怒りをあえて歌詞に表し、聴き手にも「GET LOUD(騒ごう)」と呼びかける率直さ、実直さからは、彼女の地に足のついた人間らしさが感じられる。

 他に、TWICEのYouTubeコンテンツ「TIME TO TWICE」のゲーム企画ではメンバーのナヨンとともに「負けず嫌い」と言われていたり、TWICEのファンの呼称「ONCE(원스/wonseu)」をあえて「敵(원수/wonsu)」と呼ぶことで愛情表現をしたりする遊び心も持つ。ジヒョはどこまでもリアルで、人間味にあふれていて、頼もしい。

 だからこそ、TWICEという愛すべきグループをリーダーとして率いる存在が他の誰でもなく、この頼もしい彼女であるという事実を思うたび、そこはかとない安心感に包まれるのだろう。

※1:https://www.buzzfeed.com/sarahhan/k-pop-group-twice-interview-once-mental-health-feel-special(筆者訳)

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