連載「lit!」第15回：courtesea、NightOwl、You Never Know、OKI.7STARS、CYNHN……残暑に聴きたい女性アイドルソング

OKI.7STARS『C‘mon☆』

　芸能の島・沖縄のアイドルシーンを活性化させるべく登場した7人組で、こちらもYou Never Knowと同じく期間限定で活動しています。新型コロナウイルスの感染が拡大したこの2年間で、沖縄のアイドルたちも活動制限を余儀なくされ、解散や休止に追い込まれました。そこで、同県内の芸能プロダクション7社が連携し、アイドル及びアイドル候補生で構成したこのグループで、再びシーンを盛り上げようと考えたわけです。タイトル曲はモータウンサウンドを取り入れた、ひたすら明るく突き進むナンバー。〈今以上に見つけてやるんだ／楽しいこと 溢れるほどに〉という歌詞に、今回の復活プロジェクト関係者の固い決意がにじんでいます。カップリングには南沙織「17歳」とKiroro「未来へ」のカバーを収録。どちらも南国の風を感じさせる仕上がりで、特に「17歳」の琉球民謡を取り入れたアレンジはよくできているので、是非聴いてみてください。

CYNHN『キリグニア』

　青色をコンセプトに活動するボーカルユニットが、新メンバーを迎えてリリースした10作目のシングル。彼女たちには「水生」という人気曲があるのですが、この曲の美意識をブラッシュアップした知的なサウンドは聴きごたえがあり、さらにレベルが上がった歌の表現力で、届けたいメッセージも鮮明に。デビューから続く、既成のアイドルのイメージから距離を置いた作風は、この曲で完成の域に達したと思いました。

　カップリング曲の「ソルベ」は蒼山幸子（ex-ねごと）が書いた、夏の終わりの切なさたっぷりの歌詞にぐっときます。爽快感のあるギターポップでメロディラインも良く、こちらもお薦めしたい1曲です。

　courteseaのカップリング曲はNegiccoの音楽プロデューサーが担当、OKI.7STARSがカバーしたのは沖縄出身の大スターのヒット曲といった具合に、今回セレクトした作品のうち、先輩アイドルへのリスペクトが伝わってくるものが特に印象に残りました。こうした傾向が強くなれば、リスナーの層ももっと広がるのではないでしょうか。