需要高まる事務所やレーベル主催の音楽フェス フジロック、サマソニでは味わえない“箱推し”の楽しさも

 まずひとつ目の魅力は、アーティスト同士のコラボにある。レーベルや事務所主催のフェスでは、横のつながりのあるアーティストが集まっていることから、そのフェスならではのコラボパフォーマンスを見ることができる場合も多い。単独ライブではもちろん、他の音楽フェスでも見ることのできないレアなコラボは、レーベルや事務所主催のフェスならではの魅力だろう。『SACRA MUSIC FES.』を例にあげると、前回2019年の開催時にはClariSとTrySailによる「コネクト」、藍井エイルとLiSAの「IGNITE」「Rising Hope」が披露されるなど、大きな話題を呼んだ。

 そして、もうひとつの魅力は、ファンダムの共有だ。事務所やレーベル主催のフェスでは、所属する複数アーティストのショーケースの役割も果たしており、コンセプトや方針を共にするアーティストとオーディエンスが出会うきっかけにもなっている。とりわけSMエンターテインメントによる『SMTOWN LIVE』のようなK-POPフェスでは、事務所ごとのカラーがアーティストの活動方針に反映されるケースもあるため、ファンダムも事務所単位で構成されやすいように思う。事務所やレーベル主催のフェスが醸し出すアットホームな雰囲気や一体感は、特定のアーティストにとどまらない「(事務所やレーベル単位で好きになる)箱推し」の楽しさを教えてくれる。

 事務所、レーベル主催のフェスのもつアーティスト間の風通しの良さや連帯感は、他のフェスでは感じることのできない特徴だ。フェス文化が根付き、趣味嗜好も細分化されていくトレンドのなかで、オーディエンスの多様化するニーズに応える、現代にフィットしたイベントの在り方かもしれない。

※1:https://corporate.pia.jp/news/detail_live_enta20210416_fes.html

関連記事