音楽で世界に良い影響を与えたい　HUH YUNJINが目指すもの

　YUNJINについて注目すべきポイントは多いが、まず語るべきは、やはり歌唱力の高さだろう。歌唱技術の必要な音数の多い楽曲も細やかに表現できるその歌声と声量は、『PRODUCE 48』時代から多くのファンを惹きつけた。LE SSERAFIMでも、CHAEWONとともに歌唱力に定評のあるメンバーとして、テレビやYouTubeで歌を披露する機会が多い。彼女は今後も歌唱面での大黒柱として、グループのパフォーマンスを支えていくだろう。

　もちろん、4年半の練習生期間に培ったダンスや表情管理のスキルも見過ごせない。ハイレベルで安定したダンスとともに、演技経験のある彼女が見せるステージでの表情は、楽曲の世界へとファンを引き込む力がある。

　そして、もう1つ注目したいのが、ステージに対して強い想いを持つ点だ。『PRODUCE 48』でデビューを逃した彼女は、「もっと舞台に立ちたくなった。どんなコンセプトでもいい。何でもやってみたい」と語り（※2）、「音楽と舞台なしでは生きられない」と覚悟を決め、孤独と闘いながら努力を重ねた（※3）。

　そんな彼女の姿勢は、グループの方向性にも影響を与えているようだ。LE SSERAFIMのクリエイティブディレクターを務めるキム・ソンヒョンは「HUH YUNJINの良いところは、『成功したい』と貪欲な姿を隠さないことにある」と語り、彼女や他メンバーの個性を活かしてプロデュースした結果、現在のグループの姿にたどり着いたという（※4）。

　さらに、公式ファンクラブとファンネーム「FEARNOT」が発表された翌日、8月9日にYouTube上で公開されたソロ曲「Raise y_our glass」では、彼女の楽曲制作スキルの高さを感じ取れる。この楽曲は、彼女がこれまでのキャリアの中で感じた「感謝の気持ち」を伝えるべく書かれたものだという。幼いころからロックを数多く聴いてきたという彼女ならではのメロディラインはもちろん、歌詞も非常に深みがある。メンバーへの感謝、デビューへの想い、そして今日まで応援してくれたファンへの愛が感じられる歌詞は、まさにデビュー100日目にふさわしい楽曲だ。

　彼女はインタビューで「音楽を通じて世界に良い影響を与えたい」と語っており（※3）、今後は楽曲制作面でも、アメリカで培った感性をもとにグループに新たな色を添えるかもしれない。

　「K-POPアイドルに対する厳しい基準を1つずつ破りたい。もっと自分たちを自由に表現できる環境を作りたい」と、グループだけでなくK-POPシーン全体も見据え、今後への意気込みを語っているYUNJIN（※3）。ワールドツアーへの意欲も見せ、活動への強い想いを表現する彼女の今後の活躍に、期待が高まっている。

※1：https://school.proctors.org/2017/05/10/hsmta-nominees-announced/?doing_wp_cron=1534841813.3331100940704345703125　筆者訳
※2：https://sports.donga.com/3/all/20181110/92814258/2　筆者訳
※3：https://magazine.weverse.io/article/view?lang=ko&colca=1&artist=20&searchword=&num=402　筆者訳
※4：https://www.chosun.com/national/weekend/2022/05/28/LN33EQL2TNEQFMXLPFXDJE7QVE/　筆者訳