フジロックから、ROCK IN JAPAN FES、サマソニまで……コロナ禍での国内大型フェスのスタンス シーン活性化への希望も

 そんな中で、明確に独自のスタンスを示したのが、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』と『SUMMER SONIC』である。ホームページにて、フェス中のマスクの着用についてルールを設けることを表明したのだ(※1、2)。ここで表明されているのは「マスクが外せるのであれば、なるべく外せるようなルールを設ける」という指針。開催される環境が夏の野外ということもあり、常にマスクを着用しての参加は熱中症などの別の危険性を持つこと、そして少しずつでも「(コロナ前の)元の形」に戻るためのアクションとして、マスク着用についてメッセージを発したのである。もちろん、マスク着用のあり/なしは観客の中でも賛否が分かれるトピックである。それを踏まえたうえで、フェス側が事前にこの指針を打ち出しているように感じるし、「全ての方に納得していただけるルールを作ることは不可能」としながらも、「参加される方も主催者も『音楽を止めない。フェスを止めない。』という思いはひとつです」と伝えている。感染状況が日々変わっているため、当日は具体的にどのようなルールを敷くのか現時点では定かではないが、フェス側が求める理想と、感染状況の現実のバランスを取りながら、当日までルールの整備、微調整が行われることになりそうだ。

 ワンマンライブでは、コロナ前に近いルールでライブを開催しているケースもある。しかし、より多数の参加者が想定されるフェスであれば、基本的にはマスクを着用し、声出しや過剰な密集は禁止するといったルールでの開催が続きそうだ。海外のフェスでは、マスクなし、声出しありで観客が参加しているケースも多いため、日本のこの現状について寂しさを覚える声もある。とはいえ、シーン全体で考えていくと、去年までは有観客での開催すら難しかったフェスが、今年は開催に向かっていると考えると大きな進歩を遂げており、状況は少しずつ動いていると言えるのではないだろうか。少なくとも、この夏がさらなるシーンの活性化に繋がるような希望は見出せそうだ。

 だからこそ、フェスごとのルールを守り、未来へと良い形でバトンを繋げられたらと切に願う次第である。

※1:https://rijfes.jp/2022/info/2734/
※2:https://www.summersonic.com/news/220713-2/

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