Stray Kids、ワールドツアー日本公演最終日完全レポ STAYに届けたフルスロットルのパフォーマンス

 暗転し、メインステージに立っていたのはチャンビン、ヒョンジン、ハン、フィリックスからなる「Muddy Water」ユニット。このコーナーでは、次のユニットの準備を待つ間、メンバーが即興でパフォーマンスが繰り広げられる。この日は、ヒョンジンが一番好きな曲だと語るColdeの「WA-R-R」を、チャンビンは以前『覆面歌王』の出演時に話題を呼んだTABLOの「TOMORROW ft. TAEYANG of BIGBANG」を歌ってくれた。

 続く、バンチャン、リノ、スンミン、アイエンからなる「Waiting For Us」ユニットは、爽やかな色のスーツを身にまとい、花が飾られたマイクスタンドとともに登場して同曲を歌唱。恋しかった相手に会いたいが会えない感情と、どんな瞬間が襲ってきてもSTAYを手放さないという固い気持ちが綴られている。このユニットの即興コーナーでは、最近J-POPに興味を持っているスンミンが、Official髭男dismの「Pretender」を披露。そして、リノとアイエンはJ.Y. Parkの「Honey」。雰囲気の違う2曲だが、どちらも会場の熱を高めた。

 そして満を持して登場した「Muddy Water」ユニット。同曲は、オールドスクール・ブームバップジャンルのヒップホップで、「これが僕たちの音楽だ、僕らは僕らの音楽をやる」という宣戦布告のような曲だ。チャンビンが以前「まだスキズの音楽はマニアックで大衆化されていないと感じている。今回のアルバムを通して、ひとつの基準になる音楽で近づきたい」と語っていたが(※1)、まさに彼らの音楽へ懸ける想いと主体性が詰まっている。

 VTRで「CIRCUS」の映像が流れた後、赤のトップスに黒いパンツという楽曲イメージに合うような衣装で登場し、同曲のパフォーマンスへ。続いて雰囲気をガラッと変え、情緒的なメロディで始まる「Scars」が披露された。基本的に日本語で進行されるMCはもちろんだが、日本オリジナル曲を聴いていても彼らの日本語が明らかに上達していることが分かる。その言葉にしっかりと感情がこもっているからこそ、聴く人の心を揺さぶるのだろう。その後のMCでは、『CIRCUS』のBillboard JAPAN3冠を祝してSTAYからリクエストの多かった「Your Eyes」をサプライズで歌い、会場が歓喜に包まれた。

写真=田中聖太郎

 本編最後のパートは、畳み掛けるようにプレデビュー曲「Hellevator」から、なりふり構わず前だけを見て走り続ける覚悟を綴った「TOP -Japanese ver.-」、そして『KINGDOM : LEGENDARY WAR』の出演を予告した楽曲でもあった「Victory Song」のパフォ―マンスが続いた。まさに、スキズのこれまでの軌跡を凝縮したようなパートだ。特に、最後にヒョンジンが腕を掲げたところは、これからも高みを目指して突き進んでいくという覚悟のようにも思えた。

写真=田中聖太郎

 アンコールステージは、メンバー同士でお互いの特徴や個性を紹介していく「FAM」から。〈家族より家族なMy FAM〉という歌詞の通り、仲の良さはもちろん絆の深さも垣間見える。続く「MIROH」で、ライブはさらに盛り上がりを見せる。

写真=田中聖太郎

 スンミンが最後のコメントをメンバーに振ったタイミングで、STAYからのサプライズが。「おかえり」という音声と、グループへの想いを表現するたくさんの写真がスクリーンに映し出されたのと同時に、観客によって「Stray Kids おかえり」と書かれた青色のスローガンが掲げられた。

写真=田中聖太郎

 バンチャンは、会場を埋めたスローガンを海のようだと表現し、「おかえり」という言葉は、いつも聞きたい言葉だと話した。言葉も文化も違う地にいつも帰ってくる場所があるということは、アーティストにとって大きな心の支えになるのだろう。その後のメンバーからの最後のコメントではSTAYへの愛と決意を日本語に韓国語や英語を織り交ぜながら語ってくれた。

写真=田中聖太郎

 いよいよアンコールもラストを迎える。披露したのは「Star Lost」と「Haven」で、どちらもメンバーがライブで披露するのを待ち望んでいた曲だ。ラストを飾った「Haven」について以前バンチャンは、「ファンソングのような感じもありつつ、コンサート会場でみんな一緒に、誰の目線も気にせず、ただ気楽に遊べるような一緒に踊りながら歌を歌いながら遊べるような時間を考えて作った曲なんです」と語っていた(※2)。歌詞にもある通り、まさにライブはStray KidsとSTAYのための“隠れ家(アジト)”だ。

写真=田中聖太郎

 ソウル公演を皮切りに、神戸、代々木、アメリカの各都市で開催された『MANIAC』ツアーはここで一度幕を閉じる。紙吹雪が舞うステージに、手を取り合って満面の笑みを浮かべていた8人の姿は記憶に残り続けるだろう。今後も、彼らが目指す高みを一緒に見ていきたい。

※1:https://youtu.be/NxryzznrhEw
※2:https://m.vlive.tv/video/257841

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