SARUKANI『BKPK 2022』ツアー東京公演振り返る パフォーマーとしての実力とクリエイターとしてのアイデア満載のステージ

 また、本公演では先述したとおり、クルー全員のパフォーマンスのほかにもメンバーのソロやタッグパフォーマンスも披露された。このパートに関しては途中、ビートボックスのバトルを思わせる形でタッグパフォーマンスが行われたことも現在のビートボックス人気の文脈に沿った内容と言えるため、ビートボックスファンからすると非常に楽しめる要素だったことは間違いないだろう。それに加えて、筆者がこの点で感じたのは4人の実力派ビートボクサーが集うことで初めて生まれる圧倒的な音の厚み、迫力だ。

SO-SO、RUSY

 もちろん、今回披露されたRUSY、KAJI、Koheyのソロパフォーマンスは、さすがに世界レベルのビートボクサーと言うにふさわしく、素人目線で見ても非常に素晴らしかった。しかし、それがタッグになることでそのサウンドの厚みは倍増し、それがクルーとなることでさらにサウンドが分厚くなり、迫力も増す。そのことを肌で感じ取れるライブ構成になっていたことにもSARUKANIが4人で活動する意味が込められていたように思う。

 ちなみに本公演の序盤では、SARUKANIのデビューアルバム『What’s Your Favorite Number?』にも収録されている「WE SAIKYO」が披露されていたが、その時に筆者の頭に浮かんだのはインタビュー時にSO-SOが今後の自分たちの展望について、「最強になりたい」と堂々と語っていたことだ。そのことを考えると『BKPK 2022』は、SARUKANIからファンに向けた自分たちが“最強である”という宣言のように思えてならない。

 そして、その宣言が間違いなく事実であったことがツアーの初日である本公演で、まずは東京のリアル会場に集まったファンに対して証明された。それが『BKPK 2022』初日公演における最大のハイライトだった。

 また本公演のアンコールパートには、SARUKANIとともに現在の日本におけるビートボックス人気を牽引するタッグチーム・Rofuがサプライズ登場した。「SARUKANI WARS」のカバーや、本人に先んじてSO-SOが今年9月に行うワンマン公演を明かすなど、破天荒なパフォーマンスで良い意味で場を掻き乱したRofuだが、本公演では北海道公演への参戦も宣言。これにより会場のオーディエンスの盛り上がりをもう一段階ギアアップさせ、最高の形で本公演のエンディング曲であり、SARUKANIの代表曲「SARUKANI WARS」へと見事にバトンを繋いでみせた。このサプライズもファンからすると本公演の記憶に残るハイライトのひとつであったと言えるだろう。

 今回、その実力を見せつけてくれたSARUKANI。残りのツアー日程でも同様にビートボックスで会場が大いに盛り上げてくれるはずだ。そして『BKPK 2022』について、KAJIは「今回のツアーではビートボックスだけでもツアーができるということを証明したい」と語っていたが、そのことは彼らがこのツアーを終えた時に改めて証明されることになるだろう。

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