TrySail、内田真礼、石原夏織……話題作が目白押し、声優ら歌う春アニメ主題歌

　1月スタートのアニメが次々と放送を終えた3月。毎週の楽しみが1つずつ奪われていく感覚は、何とも言い難い気持ちになると共に、また新しい楽しみを味わうために必要なものでもある。

　そして4月を迎え、いよいよ春アニメの季節。すでに開始している作品もあるが、今期も話題のアニメが目白押しであるとともに、その主題歌にも注目が集まっている。本稿では、そんな4月スタートのアニメ作品において、声優らが歌う楽曲にスポットを当てていく。

　まずは4月1日より放送がスタートした『阿波連さんははかれない』（MBS・TBSほか）。小柄で物静かな女の子の阿波連（あはれん）れいなさんは、人との距離をはかるのが少し苦手。 そんな阿波連さんの隣の席に座るライドウくんは、彼女との間に距離を感じていた。 ある日、消しゴムを拾ったことをきっかけに、2人の距離が急接近。距離感が予測不能な阿波連さんとライドウくんの青春ラブコメディが展開されていく。

　本作はオープニングをTrySail、エンディングをハコニワリリィが担当。TrySailは新曲「はなれない距離」を提供しており、前述した阿波連さんとライドウくんのもどかしい距離感を見事に表現している。カラフルなサウンドと麻倉もも・雨宮天・夏川椎菜のユニゾンが胸キュンなストーリーを盛り上げつつ、グループの華やかな一面も更新しているあたり、作品との関係性も抜群と言っていいだろう。ハコニワリリィが歌うエンディング「キョリ感」も『阿波連さん〜』の世界観を鮮やかに踏襲しており、センチメンタルな気持ちを軽やかなポップチューンに落とし込んでいる。軽快なアレンジはHoneyWorksによるもので、映像と共に青春を目と耳から感じることができる。また、アニメ全体の音楽を神前 暁＆MONACAが手がけている点にも注目だ。

　4月7日よりスタートする『社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。』（AT-X、TOKYO MXほか）も、個人的に推したいアニメだ。社畜である伏原さんが夜の会社で出会った小さな幽霊ちゃんと織りなすハートフルストーリーで、健康のために伏原さんを立ち去らせたい幽霊ちゃん、片や幽霊ちゃんが可愛くて帰りたくない伏原さん。言葉で説明すると単純だが、間違いなくアニメ化することで沼にハマるであろう作品だと思う。

　オープニングは、伏原さんの家にいるメイド幽霊・リリィを演じる石原夏織が歌う「Cherish」。印象的なベースイントロからドタバタな展開が予想される楽曲は、作曲編曲をヒゲドライバーが手がけている。4月8日の先行配信まで全体像は楽しみに待ちたいが、アニメの予告編などから察するに、石原のフラットな声質とめくるめく展開のトラックが程よい形でアニメを勢い付けてくれそうだ。そしてエンディングは、伏原さんの隣人・倉橋さんの声を務める内田真礼が担当。内田の13thシングル表題曲として4月20日にリリースされる「聴こえる？」は、佐藤純一（fhána）が作曲編曲を、fhánaのほぼ全ての楽曲の歌詞を手がける林 英樹が作詞をしており、リリックには〈そこにいて My pretty ghost〉というフレーズもあり、『社畜さん〜』ならではの風景を随所に想起させる。作品とリンクした両テーマは、きっと話数が進むに連れて、より視聴者に馴染んでいくはずだ。