鳥山雄司と神保彰、PYRAMIDの変化に対する活動指針 クラウドファンディングでのアルバム制作を語る

変化に対してオープンでいたい

ーー現在5thアルバムの制作が進行中です。クラウドファンディングという新しい冒険にも出られたわけですが。

鳥山:PYRAMIDの制作を語る上で重要なので最初のPIT INNの話に戻ると、リハーサルはドラムを持ち込んでここ(スタジオ)でやったんですね。音を出していくうちに半分遊びのノリで、「チェック代わりに録ってみようか」となって、ドラムにマイク2、3本立てて、簡易な感じで録ってみた。それがことのほかね。

神保:そう。いい音だったんですよ。

鳥山:「これは出さない手はないね」とアルバム制作が具体化していきました。2005年に1st『PYRAMID』、2006年に2nd『TELEPATH以心伝心』が出てるんですけど、その後それぞれのソロ活動が忙しくなって、『PYRAMID3』が出たのが2011年。僕らと親交の深い(葉加瀬)太郎くんが、クラシックを混在させたクロスオーバーをやり始めていたので、彼をPYRAMIDというバンドのなかに引きずり込む形で作った作品でした。リリースは太郎くん率いるHATSレーベルから。当時僕自身も自分のレーベルの必要性をすごく感じていたので、それからすぐHATSの兄弟分的なSUPER PAWを立ち上げて、2018年の『PYRAMID 4』からは、そこをベースに制作しているんです。

ーー多様化の時代となり、アーティスト、ミュージシャンのみなさんは、さまざまな制作形態を模索をされていますよね。

鳥山:それぞれ得意不得意もあって、たとえば太郎くんとかは、年間60本くらいのコンサートをやってレーベルを回していけるけれど、我々はそうもいかない。クリエイティビティとプロモーションとをいかに両立させるかということについては、随分とリサーチもしました。結果、これなら面白いことができそうだと選んだのがクラウドファンディングだったんです。

神保:今、音楽を取り巻く世界はどんどん変わってきてますよね。レコードからCDに、CDからダウンロードになって、今はもうストリーミングが主流。変化の加速度は今後さらに増して、制作の形態もどんどん新しくなっていく。そういう変化に対してオープンでいたいという気持ちは常に持っていました。

鳥山:アイデア出しをしてた頃は和泉くんも元気で。

神保:オンラインで何回かミーティングもしましたよね。

鳥山:なかでもよく話したのが、ファンの人たちとのつながりということ。希望的観測かもしれないんですけど、PYRAMIDを応援したいと思ってくれてる人はきっともっといると思うんです。

神保:ただ、我々は年1、2回、東名阪でライブができればいいほうだと思うので。

鳥山:その少ないチャンスに来られないと、応援の気持ちもきっと立ち消えちゃう。それではつまらないなと思っていて、そこをつなげるプラットフォームがほしかったんです。今はもうTikTokからヒットするなんて当たり前で、アリアナ・グランデなんかはゲームのなかでバーチャルコンサートをやったりもしてる。エンドユーザーの目線で考えていかないと、ファンの人たちとは疎遠になる一方な気がして。

ーーコロナ禍のこの時代、余計にそうかもしれません。今回のプロジェクトではPYRAMID CITYなるものも出現しています。

鳥山:参加者のみなさんにはそこの市民になっていただいてます。

神保:すでに「市民会議」などもYouTubeのライブ配信でやってるんですよ。みなさんからのチャットを拾いながらふたりで話していくんですけど、先日は我々の役職名についての議題が市民さんから上がりました。ちょうどPYRAMIDの新しいロゴが完成したところで、鳥山くんはそれを見せながら「官房長官かな」と。

鳥山:「令和」を見せるみたいな感じでね(笑)。

神保:そしたら、「神保さんは神保長ですね」と市民さんが言ってきたので、バーチャル座布団を差し上げました(笑)。

鳥山:定期的に選曲会議の様子も映像配信していて、すでに6曲分のデモの断片をみなさんにお聞かせしてます。

神保:選曲会議は市民さんでなくても見られるので、ぜひご覧いただければと。制作過程をお見せするってまずないですからね。みなさんから寄せられた言葉からヒントをいただいたりもしています。

神保彰

ーーキャッチフレーズにもなっていますが、まさに「ファンと一緒に作る。」ですね。レコーディング現場の見学なども?

鳥山:リズム録りを見ていただけるコースがあります。

神保:ただ、あまり人数を入れることはできないので即完でした。かなり特別な体験をしていただけると思います。

鳥山:スタッフとは、PYRAMID CITYにコンサート会場やディスコがあるといいねという話もしています。実は『PYRAMID4』のとき、『PYRAMID DISCO NIGHT』と名づけたリリースパーティを催して、DJとBPMを合わせて、The Commodoresとかレイ・パーカーJr.とかの往年のディスコサウンドを生演奏したんですね。チークタイムはお約束の「Feel Like Makin' Love」。みなさんこっちが引くくらい踊りまくってました(笑)。近々そういうことも実現できればなと。

関連記事