『TerminaL』インタビュー

K:ream、音楽を通して曝け出す赤裸々な感情 コロナ禍の焦燥を経て見出した希望への道筋

僕は僕の正義を貫きたいからこそ「わからない」って言う(内川)

ーーうん。希望ってすごく誤解を生みやすい言葉でもあると思うし、ロマンティックな、現実を踏まえてないようなものだとも捉えられかねないものだと思うんです。でもこのアルバムでK:reamが描いているのは全然そういうものじゃないんですよね。希望の裏には辛さや息苦しさもあるんだけど、最終的にはそっちに向かっていくんだ、もっと言えばそっちに向かわざるを得ないんだっていう。

内川:本当にその対になってるものってあるじゃないですか。希望だったら失望とか絶望があるし。結局それら両方があって成り立つ感情だなっていうのを僕はすごく思うんですよ。だからこそ僕は希望を掲げたくはなかったし。少なくともK:reamでの表現ではそういう香りがするようにっていう。別に意識してないんですけど、嘘つきたくないなとか、ダサいことしたくないなっていうのがそういうところに出ちゃうんだろうなとは思いますけどね。

K:ream - Universe

ーーたぶん2人ともすごく希望をもって生きているんだと思うんですけど、生きてる上ではもちろんしんどいこともたくさんあるし。だけど、どこに向かってるの?って言われたらやっぱり希望の方に向かってるんだよっていう。鶴田さん、「Universe」で〈夢のような 悲しい旅が始まる〉って書いていますけど、まさにそういう感じ。

鶴田:やっぱり結局、希望というのは自分にとっては生きる糧だし、それがあるから未来に進んでいけるし、未来に向かっていくっていうことが生きることだとは思っているんですけど、結局それも終わりが来てしまう。割とロマンチックに生きてる僕の目線でも本当に悲しいことばかりだし、結局、ハッピーエンドはたぶんないなって思うんです。終わりはみんな一緒で、永遠は存在しないし、争いもなくならない。そういう世の中で、でも自分は前を向きたい、希望に向かっていきたいっていう、それをそのまま言葉にしたのがそのフレーズですね。そういうユニバースの中に自分がいるっていう。

ーーでもこの曲、シリアスだけどすごく明るいんですよね。

鶴田:元々明るい曲を書こうと思って作ったんです。それで明るい歌詞をいろいろ書いたんですけどダメで、最後の最後に、僕の思ったものを全部書いたらこうなった。本当によくわかんない曲だなって思いますね。

内川:僕、これ全然わかんないんですよ。本当に僕は希望があるせいで明日も生きなきゃいけないのになみたいな感じなんで。結構本当に思ってることとは裏腹なことをつらつら歌ってる感じなんですけど、それって面白いなと思って。だからこれはもう声を大にして言っていこうと思うんですけど、わかんないよっていう。だけど、それが今後、未来の僕がわかったんだっていうことを言ってたらそれもエモいし。新しい体験でしたね、本当に。

ーーなるほど。この曲と1つ前の「seed」がこのアルバムのキモなのかなって僕は思っていて。この2曲、言っていることはすごく似ているんですよね。でも微妙にズレている。それがK:reamらしいなという。

鶴田:本当にそうで、これも僕の長年思ってたこと、ロマンの1つですね。日々を生きて、記憶とか、形のないものだけどそれをいろんな人と共有していくことによって、未来に自分が生きていくことができる。それが永遠っていうことなのかもしれないなっていう。だから「Universe」の僕の希望観と若干似ている部分はあるのかもしれないです。同時期に制作したのもあると思いますけど。

内川:「seed」は不思議な曲だなあと思います。たぶん僕はこの曲を全然理解できてないと思います。今回のアルバムの中では、理解度みたいなところでいったら「seed」が一番浅いかなっていう感じはありますね。それで作品にしちゃってるのがすごくおもしろいんですけど(笑)。

ーーでも、「seed」の〈未来が始まる〉という言葉と、内川さんの書いた「colors」の〈生きよ〉っていう言葉は、同じことを言っていると思うんですよね。

内川:そう。ここ、なんか三部作みたいな裏テーマあったよね。それで制作者だけがニヤリとなる曲順になってるんですけど。

ーー『TerminaL』というアルバムのメッセージをすごくを象徴しているパートだと思いますし、2人が結局は同じ方向を向いていることの証明だという気がします。

鶴田:そうですね。こんなに価値観違うのに、同じものを作れるんだって感じですよね。『asymmetry』のときからそうですけど。

ーーむしろそのときよりもバラバラ具合に拍車がかかってる気もします。

鶴田:そう見えます?

ーーというか、わからないことはわからないとちゃんと言うっていうのは、それでいいじゃんっていうことですからね。

内川:やっぱり僕は、クリエイターとかアーティストである前に、ボーカリストだなって思ってるんで、自分のことを。そういう意味ではK:reamの拡声器だよっていうところが一番プライオリティが高いかなって思っていて。だから、僕は僕の正義を貫きたいからこそわからないって言うし、わからないものを出したくないっていうのも別にない。むしろそういうところで何か変に理解しようとして繕って、わからないことをわかったように話して、お客さんの前で歌うほうが失礼な気がするんですよね。

K:ream『TerminaL』

■リリース情報
『TerminaL』
2022年2月23日(水) リリース
通常盤(CD)¥3,000(税抜)  ¥3,300 (税込)
品番UMCK-1707

▼「TerminaL」 CD予約サイトリンク
https://Kream.lnk.to/TerminaL_Reserve

【収録曲】
01. Live
02. See The Light
03. 終わりなき世界
04. Precious
05. 革命、朝
06. Voices
07. 空白の春
08. Anchor
09. Frantic -躁鬱-
10. Stars
11. Blue
12. Clown -道化-
13. seed
14. Universe
15. colors
16. re:birth

【CD購入者特典】
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●タワーレコード【ステッカー(絵柄A)】
●その他・一般店【ステッカー(絵柄B)】
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