「プロトスター」インタビュー

nowisee、未来を予見した革新的バンドが現代で鳴らす音楽 1st Periodから再始動に至ったバックストーリー

2nd Periodでようやくnowiseeはバンドになれた

ーー映像が浮かぶストーリーテリングを持つ楽曲であり、閉じたものではなく、開かれた印象も感じるんです。それはさらけ出している本音が伝わってくるというか。気持ちを持っていかれるナンバーで。とにかく、Strange Octaveのボーカリゼーション、歌い回しがいいんですよ。

Strange Octave:ありがとうございます。サビ、めっちゃ悩んだんですよ。15パターンくらい用意して。

ーーサビの展開も通常の流れとは異なり、個性を感じさせるいい意味でのクセ=nowiseeらしさを感じました。

Minimum Root:歌詞が出来て、たまたま季節も節目的な部分もあるし。コロナ禍でいろんなニュースを見ていて。イベントがどんどん中止や延期になって。ライブをやったらコロナでクラスターが発生して、「ライブって諸悪の根源じゃん」と言われることもあった。ニュースでもライブハウスのスタッフが、ネガティブに言われているのを見て。なんか、どっかのタイミングでnowiseeでしか作れないような、世の中の見方をぶっ壊すようなことというか、問題作になってもいいから状況を変えたいなと思ったんです。でも、なかなかシビアな状況でもあったし、勢いでできることでもなかった。そんなことを漠然と思っていたなかで、10月ぐらいにふと前向きな曲をやってみたくなったんです。

ーー時代背景も踏まえ、手探りで出会えた曲なのですね。

Minimum Root:ライブハウスやバンドマンという小さな世界でもあるんですけど、この小さな世界を伝えながら前へ歩んでいく曲にしたいなって思ったんです。この曲があったからこそ、次の曲である第8弾「細胞」が生まれたと。

 この曲は、全生命体への応援歌なんです。今、世界からみんなの声を募集していて、それを楽曲に反映していこうと考えています。「プロトスター」はミニマムな自分。「細胞」はより広くというイメージで。でも、表現したいことは同じなんです。

ーーGoogle Earthでいう、急激なズームイン、ズームアウトのイメージですね。浮き彫りとなるメッセージ性の焦点は繋がっているという。

Minimum Root:そうそう。Strange Octaveが、「プロトスター」の歌詞を上げてきたときに、だったらこういう方向性もあるよねって。それがnowiseeらしさだと思うんですよ。

ーー流れが明快ですね。

Minimum Root:行き当たりばったりともいうんですけどね(笑)。

ーーでも、音楽ってそういうことですよね。自由度も高いし、繋がる力も強く、いろんな表現に溶け合っていけるという。

Strange Octave:たしかにそうですね。

ーー曲作り、最近は日本でもコライトという手法を当たり前に聞くようになりましたが、nowiseeでは6年前からやられていて。「プロトスター」での楽曲制作における役割分担はどんな感じだったんですか?

Minimum Root:今回、ピアノのTurtle 7thがトラックメイクをして、その派生から生まれたメロディを調整していきました。僕的には、nowiseeをはじめた頃に初期衝動で生まれた「ナノ」という曲を思い出して。あの曲が生まれたことが、僕にとって新しい可能性を感じた瞬間だったんです。キラキラしたポップな世界に対して、Strange Octaveの歌詞が前向きなだけじゃないというギャップが面白かった。あの感じをやりたかったんですよ。ようやく完成したのが「プロトスター」でした。

Strange Octave:Turtle 7thは、nowiseeのポップ隊長なんです。逆にギターのAdd Fatはロック番長なんですよ。

ーー様々な方向性を持ったメンバーが集まっていますよね。では最後に、クリエイター集団nowiseeの活動を続ける上で大切にされていることを教えてください。

Strange Octave:よく、Minimum Rootからは“お前はみている世界がミニマムだ!”って言われるんです。それは良くも悪くもって意味なんです。欠点でもあり強みでもあるのかなって。2nd Periodで出した「BUGS」という曲があって。虫をテーマにしていたり、「トロンプルイユ」という曲ではそのまんまなんですけど騙し絵をテーマにしていたり。あまり、人が注目しないところに目を向けていきつつ、nowisee =“ようやく気づけた!”という要素をこれからも見つけながら音楽活動をやっていきたいですね。

Minimum Root:俺は、その着眼点の良さを否定はしてないよ(苦笑)。

Strange Octave:1st Periodでは、けっこう自分中心になってしまっていたんです。人と同じように出来ないから自分はダメだ、みたいな。自分を責めつつも自分よがりというか。だけど、2nd Periodではより視野を広く、過去の痛い自分の部分を今は客観的に見れているので、1st Periodでは出来なかったことを表現していきたいですね。

Minimum Root:1st Periodのときは、全部のパズルがちゃんとハマって、絶対勝てるなって気持ちでやっていたんです。これだけの素晴らしいメンバーがいればどんなものを作れるかって想像ができたし。でもなんか、最初の2年間を経て、2nd Periodでようやくnowiseeはバンドになれたなって思っています。第1期で1年折り返した頃かな、実はStrange Octaveは一度引退したんですよ。心の引退を。

Strange Octave:はい(苦笑)。

ーーえっ、衝撃発言じゃないですか。

Minimum Root:もう歌えないってなって。でも “2年間毎月リリースって決めているから歌ってもらわないと困るよ!”なんて言うこともなく、“Strange Octaveが辞めるんだったら、俺がごめんなさいってみんなに言いに行くから”って。2nd Periodでも大事なポイントはそこで、みんながやりたいって思っていなかったらやりたくないし。“これだったらnowiseeかっこいいよね!”って信じられる軸ができたと思っています。バンドってひとつの生命体なんですよ。人間と一緒なんだなって。相変わらずプチ喧嘩はするんですけど(笑)。最終的には、お互いを理解できるようになりましたね。結果、可能性は広がっているので、nowiseeはこの先ずっと続いていくんだろうなって思っています。

nowisee「プロトスター」

■リリース情報
nowisee
「プロトスター」
2022年2月8日(火)デジタル配信

Nowisee Web Site:http://www.nowisee.jp/
nowisee YouTube Channel:https://www.youtube.com/c/nowisee

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