KMNZ、パフォーマンスで届けた3年半の軌跡と感謝 開催延期乗り越えた念願のリアルワンマンを観て

 LITAとLIZによるVTuberユニットの“KMNZ”が、昨年12月17日に池袋harevutaiで初のリアルワンマンライブ『REPEZEN KMNSTREET』を開催した。当初は2020年4月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響による延期を経て、昨年夏にクラウドファンディングで総額1,894万円の支援金を集め、思いを新たに実現した。カバーや新曲、ソロ曲など全21曲を披露。2人の約3年半がギュッと凝縮されたと同時に、バーチャルを越えた2人の可能性がさらに広がったステージになった。

エハラミオリやNekoHackerなど豪華ゲストが集結

KMNZ(LITA、LIZ)

 ライブは2019年11月にリリースされた『KMNVERSE』の1曲目「OPENING」でスタート。2人のヒューマンビートボックスで始まり、シンプルなビートに乗せてライブの開幕を高らかに歌い上げた楽曲。〈ずっと待ってたんでしょ?〉〈会場のみんな元気?〉。今日という日のために書かれたかのような歌詞が、ファンの胸をグッとわしづかみにした。「念願のワンマンライブへようこそ!」。大歓声の代わりに、ペンライトの光と割れんばかりの拍手が、2人へ贈られた。

 「去年の延期から今日まで、本当にお待たせしました。いつも応援してくれているKMNHZ(ファンの呼称)のみんな、クラウドファンディングで支援してくれたみんなのおかげで、今日という日を迎えることができました。本当にありがとうございます」と、このライブを開催できることへの感謝を伝えたLIZ。LITAは「最高の思い出を作れるように、みんなの熱い応援に対するアンサーとなるような最高のパフォーマンスを約束します。私たちも超楽しむので、みんなも楽しんでください」と、感極まりながら今の気持ちを口にした。

 KMNZの3年半を凝縮したベスト盤的な内容になったライブ。ゲストあり、ソロあり、カバーあり、新曲あり、ハプニングあり。ネットを介して聴くのとはひと味違う、生のライブだからこその魅力が満載されたものになった。

 ライブの目玉の1つは、KMNZの楽曲を手がけたクリエイターとのコラボステージだ。アッパーのビートで早口のラップを繰り広げる「Beat&Beast」で、フロアを沸かせたエハラミオリ。「R U GAME?」と「Glory Days」をノンストップでプレイしたNeko Hacker。「kick it!!!!」では、Batsuが作り出すラテンのリズムをミックスした雰囲気あるビートと、2人のテクニカルなフロウで観客を魅了した。

 これまで多くのクリエイターが、KMNZに楽曲を提供してきた。コラボも多く、ORESAMA、春猿火といったアーティストだけでなく、スポーツブランド“Reebok”とコラボ商品を発売している。なぜKMNZは愛されるのか。飾らないキャラクターが、2人の最大の武器だろう。どちらも自分に正直で、相手が誰でも同じように接し裏がない。小細工なしで正面からドーンとぶつかってくる感じは、時折ヒヤヒヤさせるものの見守っていたいと思わせてくれる。この日駆けつけたゲストは、きっとそんなKMNZの魅力にメロメロなのだろう。

 ソロ曲では、カバーであることを忘れるほどのクオリティで、それぞれのキャラクターが発揮された。LIZは、ぼっちぼろまる「タンタカタンタンタンタンメン」をカバー。「緊張する~」と最初はモジモジしていたが、ドラの音とチャイナ風メロディのイントロが鳴り始めると、ラッパーモードがオン。アッパーのリズムに乗せて、キュートな歌声を聴かせた。間奏の〈タンタカタン タンタカタン〉に合わせて、観客は手拍子しながらピンクのペンライトを振る。その様子にうれしそうな表情を見せたLIZの様子が印象的だ。LITAはtofubeats feat, オノマトペ大臣「水星」をカバー。ゆったりとしたビートの上でダウナーなラップを聴かせたLITA。同曲のカバー動画でコラボしたYACAも登場し、2人でかけ合いを披露。都会的なクールさと独特の浮遊感から、会場には心地よいバイブスが流れた。

 KMNZ LITAのYouTubeチャンネルで165万回以上の再生数を記録している、小沢健二 featuring スチャダラパー「今夜はブギー・バック」のカバーも披露された。メロディパートをハーモニーで聴かせるなど、J-RAPの金字塔をKMNZ流のニュアンスでアレンジ。ライブ配信の映像では、赤いライトにミラーボールが照らされる映像が映し出され、オリジナルのMVに対するリスペクトを感じ取ることもできた。

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