AliAは、バイオリンやキーボードを含めた6人編成。演奏の軸はオルタナティブなロックサウンドだが、そこに美しいバイオリンやキーボードといった上モノが加わることで、バンドでありながらJ−POPにも呼応する、柔軟なサウンドを実現する。聴き手を惹きつけるフックが1曲の中に多数存在すること、奥行きのあるバンドアンサンブルを生み出せることが、AliAの強みだろう。

　また、BiSHやSEKAI NO OWARIのライブサポートをしているRINAや、音楽大学を卒業しているTKT（RINAも音大卒）が象徴的だが、個性と共に確かな演奏力を持つメンバーも所属。すでにアメリカやヨーロッパなどの海外でもライブを行うなど、2018年に結成されたばかりのバンドではあるが、その実力は折り紙付きだ。

　そんなメンバー構成から生み出される音楽性は、ジャンルに縛られず、多岐に渡る。例えば「ステロイド」は、ボカロ楽曲からの影響を感じるメロディと疾走感が印象的だ。間奏のギターからはラウドロックの影響を感じるから面白い。「ゆびさき」はピアノとバイオリンをフィーチャーし、壮大なシンフォニックロックに。また、「promise」のようなバラードを聴くと、改めて演奏と歌声の表現力の高さを感じられる。ただ、様々なアプローチに挑戦している中でも、ロックバンド然とした力強さや、1曲の中で全ての楽器の個性を活かしていくスタイルは、どの楽曲にも共通している。

　8月4日にリリースされた新曲「ノスタルジア」は、「かくれんぼ」を彷彿とさせる疾走感と力強さがあるロックナンバーだ。ドラムのカウントからクールに始まり、そこからのバイオリンの音色には痺れてしまう。歌声は他の楽曲よりも一層力強く、サビの爆発力はあらゆる負の感情を吹き飛ばしてくれそうな勢いを感じる。また、“青春”をテーマにしている歌詞は、青々とした爽やかな風景と、そんな日々を振り返った時の普遍的な視線は、だれしもの共感に繋がりそうだ。同曲は「かくれんぼ」に続く、AliAの代表曲の一つになる予感がする。

　AliAは、アニメのMAD動画をきっかけに注目を集めたバンドではある。しかし、その前提として、そもそもの音楽が魅力的であるからこそ、ここまでのバズを起こすことができたのだろう。インターネットから次世代のスターが生まれることが一般化した昨今、今年で3周年を迎えたAliAは、今まさにバンドとしての大きなターニングポイントを迎えている。

■リリース情報
タイトル：「ノスタルジア」
配信日：2021年8月4日（水）デジタルリリース

AliA 公式サイト
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