ジャニーズ、相次ぐ脱退・退所から見えた多様な選択肢 各世代の動きから考える
岩橋玄樹は、この3月末でのKing & Princeからの脱退、そしてジャニーズ事務所退所を発表した。2018年11月からパニック障害の治療に専念するため活動を休止していたが、2年以上が経過し、まだ完治していない状況を踏まえて今回の決断に至った。
彼の場合、健康上の理由なので、長瀬智也や岡本圭人とは事情が異なる。まずは当然、体調の回復ということが優先されるだろう。今後についても、「新しい道」に進むとの発表があっただけなので、具体的なことはまだわからない。
そのなかで、4月1日に岩橋の公式Instagramアカウントが開設された。そこではファンやメンバー、さらにジャニー喜多川への思いを綴ったメッセージが改めて投稿された。さらにその後も投稿は続き、ファンの反響も大きい。
このあたりは、SNS時代がもたらした可能性を感じさせる。ジャニーズにおいても、近年ネットからの発信が盛んになってきた。その中心にいるのは、「Z世代」と呼ばれるデジタルネイティブ世代の若いジャニーズたちだ。現在24歳の岩橋玄樹も、同じ世代である。雑誌の「恋人にしたいJr.」ランキングで5年連続1位になるなど元々人気の高かった彼にとって、ファンとの交流を直接図れるSNSは心強い拠り所になるだろう。
ファンにとって、脱退や退所があってほしくないものであることは変わらない。ただ、各世代のジャニーズが置かれた状況や時代の変化のなかで、たとえ脱退や退所という選択がなされたとしても、その後の生きかたの選択肢はより多様になっている。3人の今後に注目したい。
■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『SMAPと平成ニッポン 不安の時代のエンターテインメント』(光文社新書)、『ジャニーズの正体 エンターテインメントの戦後史』(双葉社)、『木村拓哉という生き方』(青弓社)、『中居正広という生き方』(青弓社)、『社会は笑う・増補版』(青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。