ラストアイドル、次の年に繋いだ希望 スペシャルユニットから楽器演奏まで……特別演出凝縮した3周年記念コンサート

「明日世界が終わってもいいくらい、私たちは今日後悔なく歌えたと思っています。少しでもみなさんのつらい時に背中を押せるアイドルになれていたらいいなと思います!」

 ラストアイドルが2020年の年末12月29日、TOKYO DOME CITY HALLにて3周年記念コンサートを開催した。2017年12月にデビューしたラストアイドルが、毎年開催してきたこの周年コンサートは、グループが歩んできた1年を振り返るとともに、次の年に希望を繋ぐ場でもある。コンサートのラストに長月翠が投げかけたこの言葉は、コロナ禍で満足に活動できなかった2020年の最後に、今のラストアイドルの集大成が象徴されるコンサートであったことを強く物語っていた。

 3周年記念コンサートは「2期生と2期生アンダーしか勝たん!公演」「1期生しか勝たん!公演」「やっぱりラスアイしか勝たん!公演」の3部構成。当初は有観客での開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑みて、無観客でのライブ配信となった。本記事では、3公演目の「やっぱりラスアイしか勝たん!」をレポートする。

 2020年、ラストアイドルがリリースしたシングルは『愛を知る』と『何人(なんびと)も』の2作。オープニングを飾ったのは、「何人(なんびと)も」のパフォーマンスにも活かされている殺陣アクションだ。選抜20名(松本ももなは欠席)による、激しい殺陣と剣舞。やがてセンターの阿部菜々実にフォーカスが当たり、そのまま「何人(なんびと)も」の歌唱に流れていく。振りかざす剣先は、歌詞を表現した振付にもなっており、「青春トレイン」から3作連続ラストアイドルの振付を担当するakaneの厳しい指導が入っている。画面を睨みつける鋭い眼差しに思わず息を呑んだ。

 対して、「愛を知る」ではペンライトを握り笑顔いっぱいに歌い踊るメンバーたち。ラストアイドルの楽曲の中でも随一激しいパフォーマンスと言われる楽曲だ。リリースの昨年4月時点ですでにメンバーやファンとの愛を叫ぶ曲として定着していたが、〈生きてりゃいいことあるもんさ〉という歌詞は時を経て、今の時代により強固で普遍的なメッセージ性を放つ。これから長く愛されていく楽曲になることを感じさせた。

 続く「スペシャルユニットブロック」では、様々なユニット曲が特別演出で披露されていく。中でも、この公演が最後のステージとなった朝日花奈と中村守里が参加するユニットは感動的なステージに。朝日にとって念願の初披露となった「どんなに好きでいても」では間奏でメンバーから花束が渡される。ブレザーの制服を纏った朝日はメンバーからのサプライズに涙を浮かべ、「みんな大好きだよ!」と叫ぶ。朝日が参加するGood Tearsでは、曲構成を変更した「スリル」を3人でラストパフォーマンス。ハーフバージョンに落ちサビが付け加えられたのは、朝日本人のリクエストだ。〈こっから始まるんだ〉では、凛々しい朝日の表情が決まっていた。「なんだかんだでスタート」では卒業する中村をメンバーが形作ったハートマークで囲む。Love Cocchiとして披露するのは「青春シンフォニー」。〈出会いよ ありがとう〉という歌詞を経て、メンバーは最後に円陣を組み、中村に寄り添っていった。

 一方で、「悪魔のディール」や「悲しい歌はもう歌いたくない」ではユニット全体のパフォーマンスを映した映像とメンバー一人ひとりを追った2画面という配信ライブならではの演出に。松本ももなの代役として、安田愛里が少々大きいくしゃみを響かせた「君のAchoo!」、ラストアイドル切ってのトンチキソング「へえ、そーお?」では〈あっべっちゃん〉のフレーズで阿部菜々実が前に出てくるなど、ユニークな演出も多々見られた。なお、「悪魔のディール」「君のAchoo!」「悲しい歌はもう歌いたくない」「へえ、そーお?」ではakaneによる新たな振付が採用されている。

 周年コンサートで、メンバーが楽器に挑戦するのは恒例になってきているが、今回はよりその色が強く出ていたように思える。篠原望によるテナーサックスは前年に引き続き、そこに「17歳の扉」では長月のエレキギター、「Again&Again」では大場結女がバイオリンを披露。ブロックは異なるが本編ラストには、西村歩乃果が「明日の空を見上げるために」でピアノを弾き、1周年の際のリベンジを果たしている。特に驚いたのは長月のギター。これは昨年9月にYouTubeで配信されたドラマ『DISTORTION GIRL』がきっかけとなり、今回の公演のために指導の先生をつけてレッスンに励んだという。篠原からは、コンサートでしか見られない“ラスアイバンド”の実現という新たな抱負も飛び出した。以前『愛を知る』でインタビューした際も、このバンド企画は話に出てきており、乗り気なメンバーは多いと聞く。ラスアイバンドの結成は決して遠い夢ではないだろう。

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