加えて共通する点があるとすれば、主題歌そのものが登場人物たちへの“救い”になっていることだろう。野木作品のキャラクターは常にどこか孤独だ。多面的な性格で、分かり合えないことに苦悩し、過去を悔いて生きている人物も多い。それはストーリーを追うにつれ昇華されてもいくが、主題歌のかたちであらかじめ“救い”が提示されることで、もがき苦しむ彼らをあたたかく包み込む。そんな物語との親和性の高さが視聴者の熱量と相まって、楽曲のヒットへとつながる構図が生み出しているのではないだろうか。

　先日オンエアされた『綾野剛×星野源×米津玄師『MIU404』スペシャル鼎談』（TBS系）において、綾野は「ヨネ（米津玄師）の『感電』が入ったことで、この作品は完成したと心の底から思った」とコメント。役者陣にとっても、ひとつの支えとなっていることが窺える。いよいよ佳境に差し掛かる『MIU404』で、「感電」が照らすのはどんな真実で、どんな結末なのか。しかと見届けたい。

■渡部あきこ
編集者／フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。