8thシングル『愛を知る』インタビュー

ラストアイドル 阿部菜々実&長月翠&山本愛梨&米田みいな『愛を知る』インタビュー “歌”への思いと初の選抜制を振り返って

 ラストアイドルが4月15日に8thシングル『愛を知る』をリリースする。

 『青春トレイン』から約7カ月ぶりとなる今作は、ラストアイドルとして初の選抜制が取り入れられた。総勢41人が参加した立候補制のオーディションバトルで上位にランクインした18人が、選抜メンバーとして参加できる。ダンスと歌唱による実技審査の結果、阿部菜々実をセンターに、長月翠や間島和奏といった実力者のほか、2期生、2期生アンダーから8名が選ばれる大混戦となった。

【MV】ラストアイドル「愛を知る」【2020.4.15 Release】

 緊張のオーディションバトルとは打って変わって、表題曲の「愛を知る」は、作曲がバグベア、編曲は野中“まさ”雄一によるアッパーチューン。早口でネガティブな思いを歌うAメロから、ツービートのサビでは一転してポジティブな気持ちを爆発させる。〈君と出会って泣けて来た なぜか涙が止まらない〉〈心 閉ざしてた僕が 同じ痛みを感じた存在〉という歌詞は、2年間で幾多のバトル、合宿を共にしてきたメンバーの胸中のようでもある。

 今回リアルサウンドでは、オーディションにてその選曲、パフォーマンスから大きな反響を呼んだ阿部菜々実、長月翠、山本愛梨、米田みいなの4人を“歌うま選抜”として選出。オーディションの振り返りから、「愛を知る」の歌唱、さらには付かず離れずの関係性だった山本、米田が心を開く瞬間、長月が夢見るラスアイバンドの展望など、話題は多岐にわたった。(渡辺彰浩)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

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4人がバトルの歌唱曲を選んだ理由

ーーこの4人での取材は珍しいですよね?

山本愛梨(以下、山本):初めてです。

ーーどんな組み合わせかは聞いていますか?

米田みいな(以下、米田):いや、何も。

長月翠(以下、長月):歌が上手い!

ーーお、正解です。歌うま選抜です。

長月:やった!

ーー「愛を知る」の話をする前に、2019年のラストアイドルは「大人サバイバー」「青春トレイン」とパフォーマンスを極めていった1年だったと思いますが、みなさんの中でその成長の実感はありますか?

阿部菜々実(以下、阿部):1年間での成長を感じています。選抜メンバーもそうなんですけど、カップリング(「壁は続く」)の子たちのパフォーマンスを初めて見た時に、「昨日1日で振り入れをした」と聞いて、「1日でここまでできるの?」って思ったんです。「大人サバイバー」と「青春トレイン」で身についた力が大きいんだなと感じました。

ーー米田さんは「青春トレイン」で注目を浴びた一人ですよね。

米田:「大人サバイバー」の時はポジションが一番後ろだったので、正直私のことなんてわかんないっしょって感じの気持ちでやっていたんですよ。

ーーはい(笑)。

米田:でも、「青春トレイン」の時にBメロのセンターに選ばれてから、少しずつだけど自信がついてきたんです。その自信を「愛を知る」のオーディションにも活かすことができたんじゃないかなって。パフォーマンスでも、もっとしっかりしようという意識がついて、「大人サバイバー」の時よりは成長したなと思います。

ーー今回の選抜オーディション開催が発表されたのは、昨年末の『2周年記念クリスマスコンサート』のステージでした。阿部さんはあの場でバトルがない時期が続いたことに「物足りないと感じていた」と話していましたが、バトルをしたいという雰囲気はグループの中にもあったんですか?

長月:グループ全体の中にはなかったです。でも、私と阿部はずっとやりたいって言い続けて、こういう取材の場でも「次、何やりたいですか?」って聞かれたら、絶対に「バトル」って答えていました。正直、この1年間、みんなで何かをやるってなった時に、力の発揮どころがよくわからないまま過ごしていて。全体としての成長は目に見えてわかるし、今まですごくぬるいことをやっていたんだなって、自分たちのパフォーマンスを見て成長を実感したんですけど、個人に目を向けると、全体の力はあっても一人ひとりの力が伸びてないなって感じることもあって。なので、バトルができてよかったなって思っています。

ーー初めての選抜制についてはどう捉えていますか?

長月:今回、選抜に入ったメンバーには、歌唱メンバーになったことがない子もかなりいて。逆に歌唱メンバーだったのに、入れなかった子もいる。今後もこの選抜制を続けていくのであれば、自分がいつ選抜でなくなるかもわからない、選抜に入れるかもしれないと思って練習をしてくる子もいるので、刺激になると思います。高めあうという点に関して、選抜制って大事なんですね。今回選抜制にした意味が見えなくならないためにも、これからも続けてほしいです。

ーーここからは、歌唱審査を中心にオーディションを振り返っていきます。阿部さんは欅坂46の「サイレントマジョリティー」を歌っていました。

阿部:何か一曲選ぶとなった時に、いつも歌っているような曲、私が歌うだろうなと想像できる曲はやめようと思っていて。「サイレントマジョリティー」は誰でも知っている曲じゃないですか。今、ラストアイドルがオーディションをやっているということを、少しでもたくさんの方に知ってもらう、ちょっとでも興味が持ってもらえるような選曲ができたらいいなと思って考えた時にピンときて歌いました。

ーーオーディションでは「新しい一面を見せるため」とも話していましたね。

阿部:前作と前々作でセンターをやらせてもらって、見てくれている人たちの中には飽きている人もいるかもしれないと思っていたので、意外だと思ってもらえるのが一番いいかなと思ったんです。

ーー長月さんの選曲は、松田聖子さんの「青い珊瑚礁」。これは2ndワンマンライブでも歌っていましたね。

長月:私、最近、音域が広くなってきていて、低い声がめちゃくちゃ出るんです。それで本当は中森明菜さんの曲が歌いたくて練習していたんですけど、お母さんに自分が声を出して一番気持ちのいい曲にしたらどうかと言われて。そのことがあって「青い珊瑚礁」を選んだんですけど、後から見返したら緊張で全然音が取れていなかったので反省しています。

ーー長月さんの声質にあったいい選曲だと思いました。コンサートを経て、歌っているうちに思い入れも深くなっていったんですか?

長月:お母さんは私に松田聖子さんみたいなアイドルになってほしいみたいなんですけど、全然逆方向に行っちゃってますよね。……最近、私、お母さんのことが好きで。

米田:素敵!

長月:大人になって、一周まわって母親のありがたみがわかってきたので、親孝行しようって気持ちで選びました。

ーー長月さんは、『TOKYO IDOL FESTIVAL』の歌唱力に定評のあるアイドルがパフォーマンスする企画「IDOL SUMMER JAMBOREE ACOUSTIC」にも出演していますよね。

長月:すごく嬉しいことです。なかなか出来ない経験で、いろんなことを吸収したり、歌の上手い他のアイドルを見て、自分も頑張ろうと毎年思っています。一緒のステージで歌った原田珠々華さんは、もともとアイドルをやっていたんですけど、今はギター一本で歌っていくシンガーソングライターとして活動していて、こういう人生もあるんだなと思って。ギターも歌も上手で、私は人見知りであまり喋れないんですけど、「すごいですね」って一言だけお話しました。

ーー山本さんは松浦亜弥さんの「引越せない気持ち」を歌っていました。

山本:小田さくら(モーニング娘。’20)さんがすごく好きなんです。バースデーイベントの動画を観ていたらその曲に出会って、そこから本家の松浦亜弥さんの動画を観て衝撃を受けました。お二方とも同じ曲を歌っているのに、違う曲を歌っているように見えて、私もこんな風に歌えるようになりたい、こういう表現がしたいと思うようになりました。その曲を歌っていくうちに、自分の中でも大切な曲になっていって、オーディションが決まった時は、この曲にしようって即決でしたね。衣装も小田さくらさんと色違いを着て、パワーをもらいました。

ーー山本さんがセンターを務めた「青春シンフォニー」は、つんく♂さんのプロデュース楽曲でした。

山本:つんく♂さんと出会って、人生が変わりましたね。考え方もそうですけど、人間としてもアイドルとしても成長できたし、今まで自分がやってきたことが中途半端だったんだなって、そこからアイドルをもっと頑張ろうと改めて思いました。

ーーつんく♂さんから、かけられた言葉で印象的なものは?

山本:「みんなに対してじゃなくて、あなたに対して歌うんだよ」とか、あとは「山本は、あともう一皮剥けたら大丈夫」って言ってくださって。追求してます、その皮ってなんだろうって。その時に言っていただいた言葉の意味が最近やっとこういうことなのかなって感じることが増えてきて、今になって響いてますね。当時は疑問でいっぱいだったんですけど、だんだんわかってくるようになりました。

ーーそれは具体的にどういったことですか?

山本:ステージに立ってる時とか、バラエティ番組の収録をしている時とかに、ふと感じるんですよ。ここでもっとこういうことを言わなきゃだめだったなとか、ここのパートを任されているのにこういう表現をしないとだめだったなという時に感じますね。

ーー長月さんも「夜中 動画ばかり見てる…」(シュークリームロケッツ)は、つんく♂さんプロデュースでしたね。

長月:私がすごく覚えてるのは、「お前ら性格悪いだろ」「痩せるな」って言われたこと。それまでアイドルは痩せていなきゃいけないと思っていたんですけど、そういうことじゃないんだなって思ったし。そのままの私たちをどう活かすかっていうのをつんく♂さんは考えてくださるから、自分たちで変に色を付けなくてもいい。ちょっと前髪巻いてみようとか、つんく♂さんに言われた以外のことをすると、ファンの人からの評判も落ちるんですよ。全部が見えていて、すごい人なんだなって感じましたね。

ーー阿部さんもハロプロ好きですよね。

阿部:私、つんく♂さんに一回会ったことがあって。モーニング娘。のオーディションで、3次審査に行った時に、知らずに会場に入ったらつんく♂さんがいたんです。私のほかにもオーディションを受けてる子が十人くらいいて、一人ひとり名前を言っていくんですけど、最後につんく♂さんから「阿部さん。それは地毛ですか?」って言われて(笑)。「はい。地毛です」って答えたら、「茶色いですね」って言われました。それだけで終わったんですけど、いっぱいいる中で私に質問をしてくれて嬉しかったのを覚えています。

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