ドームツアー目前のSEVENTEEN グループの魅力を編成、楽曲、パフォーマンスから徹底解説
BTSがBillboard 200のアルバムチャートで1位を獲得したことを筆頭に、BLACKPINKやNCT 127、MONSTA Xなど、K-POPグループが欧米のチャートを賑わせることは近年珍しくなくなってきた。そんな中、Billboardで発表された「The 25 Best K-pop Albums of 2019:Critics’Picks(批評家が選ぶ2019年のベストK-POPアルバム25)」という記事の中で、1位に選ばれたのがSEVENTEENの3枚目のフルアルバム『An Ode』だった。『An Ode』は初動売上70万枚を記録し、米BillboardだけではなくMTV、英NMEなど海外各国の主要メディアでも注目を受けた。ここ日本でも、4月1日にリリースされた2枚目のオリジナルシングル「舞い落ちる花びら (Fallin' Flower)」が、発売初日にオリコンデイリーシングルランキング1位を獲得し、5月には待望のドームツアーも予定されている。 今回はそんなSEVENTEENというグループについて改めて紹介していきたい。
13人という大所帯で構成されているSEVENTEENだが、ジャンル別ユニットに分かれている点は、ほかのグループと大きく異なる特徴のひとつと言えるだろう。13人のメンバーはそれぞれ、SEVENTEENの楽曲制作をしているWOOZIをリーダーとした歌が得意なメンバーを集めたボーカルチーム(JEONGHAN、JOSHUA、DK、SEUNGKWAN、WOOZIの5人)、グループ全体のリーダーを兼任するS.COUPSをリーダーとしたラップ担当のヒップホップチーム(WONWOO、MINGYU、VERNON、S.COUPSの4人)、SEVENTEENの要とも言える振り付けに参加しているHOSHIがリーダーのダンスが得意なパフォーマンスチーム(JUN、THE 8、DINO、HOSHIの4人)の3つのユニットに所属している。13人全員でのパフォーマンスとは別に各メンバーの得意なユニットに所属することによって、メンバーの多さゆえに担当パートや見せ場が少なくなりがち、あるいは偏りがちになるという問題点が解消されやすい。また、グループとは異なる特徴を持ったユニットごとのパフォーマンスも同時に楽しめるという点は、大きな強みの一つだ。ユニットの中でそれぞれが新たな試みを続けることも可能だし、グループとは異なる成長の姿や化学反応を見せることもできるだろう。近年では固定ユニットにとらわれないさまざまなメンバーの組み合わせによるパフォーマンスも披露しているが、ユニットに所属することで自分の得意分野や役割をはっきり意識することができ、それによってさらに新しい表現にチャレンジしやすくなるのではないだろうか。
また、楽曲・振付などの制作面にメンバーが直接参加している、いわゆる“自作ドル”としても有名だ。SEVENTEENの場合は“タイトル曲”と呼ばれるアルバムのメイン曲を含む多くの楽曲制作において、ボーカルチームリーダーのWOOZIが直接的に大きな役割を果たしている。特に韓国の男性アイドルグループでは、BTSやiKON、Stray Kidsなど“自作ドル”の存在は珍しくなくなってきているが、アルバムの看板とも言える“タイトル曲”までメンバーがメインで制作しているグループばかりではない。さらに、日本の作曲家に依頼するパターンも多い日本オリジナル楽曲でも、韓国と同様の楽曲制作スタイルを貫いている。特にSEVENTEENの場合は、過去の活動曲「Pretty U」でも「日本の楽曲っぽい要素を取り入れた」と語っていたが、日本活動においても言語の違いなども考慮した上で「日本ならではの楽曲とはどのようなものか」という部分を考えて制作したと語っていた(参考:http://idology.kr/8198)。日本活動における“本気度”が楽曲を通しても感じられるからこそ、海外活動へのファンの信頼も堅固なものなのだろう。
そして、SEVENTEENのグループとしての特徴を最も表しているのは、なんといってもパフォーマンスそのもの。K-POPといえばBTSを筆頭に“高度なダンスパフォーマンス”“シンクロぶり”というイメージがあるが、13人全員の息の合ったシンクロぶりと表現力においては、数あるK-POPグループの中でもずば抜けており、トップクラスと言っていいだろう。13人という大人数グループの特性を生かしたダイナミックさはもちろん、時には小道具を使ったり、ステージ全体を使った360度どこから見ても楽しめるミュージカルのようなストーリー性のあるパフォーマンスが持ち味。新曲「舞い落ちる花びら (Fallin' Flower)」のMVでも、花びらが開き散っていくような振付を真上から撮った構図が印象的だ。ウェブを中心に発達してきたK-POPでは、正面から撮影するTVやMVが活動中心になることが多い。故に、常に上空や背後からの見え方まで意識されている構成はそう多くはない。