『タワーアカデミー』インタビュー
浅田祐介×DÉ DÉ MOUSE×SASUKE 異世代鼎談 三者が考える、今求められる音楽作家の資質
日本のクリエイターが食べていくためには世界に出ていくしかない
ーー今、求められているクリエイター像とはどのようなものと思いますか?
浅田:これから、日本のクリエイターが食べていくためには世界に出ていくしかないと僕は思っています。そうするとやっぱり、もう一度「個性」というところに立ち返る必要があると思いますね。人と違うことをやるにはどうしたらいいのか、考え始めなければならないフェーズなんだなと、ここ1、2年で思います。
DÉ DÉ MOUSE:具体的にいうと「カワイイ」というキーワードは海外では浸透しましたよね。ある意味では日本のカルチャーを代表するものにまでなったというか。あと「ゲーム」。それ以外の分野では、日本のクリエイターが海外に食い込んでいくのはなかなか難しい気がします。どの国にも特有の分野というものがありますからね。それを考えると「カワイイ」や「ゲーム」がここまで万国共通として受け入れられたのは、逆にすごいなと思いますけど(笑)。以前、ブルックリンのクラブでプレイした時に、昼間は見なかったようなカワイイファッションの人達がめちゃくちゃ集まってきて。「一体どこに隠れてたんだ?」って思ったんですよね(笑)。
浅田:あははは。
DÉ DÉ MOUSE:そういう層って、世界のどの都市へ行っても必ず一定層いるんですよ。なので、そういうところで活動できるクリエイターは、よく海外へ行ってますね。あと、初音ミクとかも強いですね。
浅田:そういえば、先日ダグラス・カーとコライティングをしたんですけど、その時に彼が「ジャパニーズAORについて詳しく教えてくれ」って言ってきたんですよ。杏里や(山下)達郎さん、竹内まりやさん……。
DÉ DÉ MOUSE:今、海外でシティポップめちゃめちゃ人気ですからね。ヴェイパーウェイヴ、フューチャーファンク……最近だとローファイも、シティポップや80~90's前半のアニメがネタになってる。
浅田:そう。「これから火がつきそうなジャンルだから、構造を覚えて帰りたい」っていうんですよ、ダグラス・カーが。先日、オーストラリアのフェスに行ったんですけど、そこでもシティポップみたいなサウンドを鳴らすインディーズバンドが3割くらいいたんですよね。「これ、杏里じゃん!」って(笑)。なので、さっきデデくんが「カワイイ」というキーワードを出してくれたけど、海外の人たちが求めている「日本の音楽」という意味では、今は「シティポップ」も押さえた方がいいですよね。
SASUKE:僕は「いい曲」と「美しい曲」は別だと思っていて。「いい曲」というのは、歌詞にグッときたり、フェスに行ってただノレる曲だったりして、「美しい曲」というのは音楽的に聴いていて心地よく、何度でも聴き返せる曲。以前、僕が作った「J-POPは終わらない」でフィーチャーしている80年代や90年代のポップスは「美しい」方だと思っているんです。で、最近日本で流行っていたEDMやトラップっていうのは「いい曲」の方なんですよ。
僕自身は「美しい曲」の方が好きだしもっともっと広めたい。でも「いい曲」には多くの人を動かす影響力があって。なので、これからのクリエイターにはちゃんと両方の要素を持った人になって欲しいし、自分もそこを目指していきたいと思いますね。
浅田:今回お二人が参加される10月は「アーティスト」がテーマですけど、11月度には「アイドルソング」、12月度には「劇伴」が控えています。楽典的な内容に偏らない講座になると思うので、貴重なこの機会にぜひ参加してほしいですね。
(取材・文=黒田隆憲)
■関連リンク
「ミュージック・プロデューサーズ・アカデミー」申込みページ
タワーアカデミー オフィシャルHP
一般社団法人 日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)HP
洗足学園音楽大学HP(協力)
■講座詳細情報
講座名:ミュージック・プロデューサーズ・アカデミー
主催:タワーアカデミー、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)
受講料:1講座¥24,000(税抜)/2講座¥43,000(税抜)/3講座¥62,000(税抜)
会場:洗足学園音楽大学(川崎市高津区)
定員:各テーマ20名
モデレーター(敬称略):浅田祐介
申込みはこちら
<10月度>
テーマ:アーティスト
日時:10月4日(金), 10月11日(金), 10月18日(金), 10月25日(金)
各19:00~20:30(90min)
ゲスト(敬称略):DÉ DÉ MOUSE、SASUKE
<11月度>
テーマ:アイドルソング
日時:11月1日(金), 11月8日(金), 11月15日(金), 11月22日(金)
各19:00~20:30(90min)予定
ゲスト:未定
<12月度>
テーマ:劇伴
日時:11月29日(金), 12月6日(金), 12月13日(金), 12月20日(金)
各19:00~20:30(90min)予定
ゲスト:未定
講師プロフィール(敬称略)
モデレーター:浅田祐介
CharaやCHEMISTRY、Crystal Kay、キマグレンなど、トップ・アーティストの作品を数多く手がける作曲家/音楽 プロデューサー。JSPA(一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ)理事。
10月度ゲスト講師
DÉ DÉ MOUSE
遠藤大介によるソロプロジェクト。作曲家、編曲家、プロデューサー、キーボーディスト、DJ。また、自身の曲のプログラミングやミックス/マスタリング、映像と多方面に活動し、他作品のプロデュース / 楽曲提供 / remixも行う。メロディカットアップの手法とキャッチーで不思議なメロディ/和音構成は、国内外問わず多くのフォロアーを生み、以降のシーンに一つの発明とも呼べる功績をもたらす。トラックメイカー/プロデューサーとしてのライブの追求にも早い段階から積極的であり、2008年からはバンドを従え、フジロックやタイコクラブなど、毎年多くのフェスやイベントに出演。2018年には7thアルバム「be yourself」をリリースし、京都メトロ、渋谷O-EAST、台湾、中国5都市にてワンマンツアー敢行。2019年からは”be yourself evening”というインターネット上にて不定期のDJ配信プロジェクトも始動などバンドシーンとクラブシーンからあらゆる枠組みを超えた縦横無尽なライブパフォーマンスは人々を魅了し続ける。
SASUKE
2歳から踊り始め、10歳でニューヨークにあるアポロシアターの「アマチュアナイト」で優勝! 14歳の時に原宿で披露した路上パフォーマンスをきっかけに様々なメディアに取り上げられ話題に、新しい地図 join ミュージックの新曲「#SINGING」の作詞、作曲を手掛けるなどSNSを通じて海外、国内からオファー殺到中の16歳トラックメイカー