三浦大知、小田和正「キラキラ」カバーで新たな魅力が開花? メロディの特徴踏まえ考察

 メロディの特徴は、高低差が激しい音程の上がり下がりを、何度も繰り返しながら、徐々に全体的に上がっていくところだろう。それを歯切れ良く、確実にその音に当てていくことで、心地よい軽やかさが生まれている。またハイトーンはかなりの高音で、普通の男性ならファルセットを使うところだが、それを地声で歌っているのが、小田のすごいところ。71歳の現在もライブでは、そのキーのまま歌っているのだから驚きだ。一方Dメロは一転して、やさしくメロウな歌い回しに変化する。細かいニュアンスを付けながらの歌唱は、AメロやBメロとは雰囲気が異なり、そのギャップによってより印象的に胸に響いてくる。そして終盤はハイトーンの連続。張り詰めた糸を切らさずテンションを保ち続けるのは、決して容易なことではないはずだ。

 では、こうした「キラキラ」を、三浦はどのように歌うのか? 三浦もまた高度な歌唱力の持ち主であり、思い返せば「EXCITE」のメロディも高低差が激しく、サビはハイトーンを繰り返していた。アッパーのダンスチューンであれば、息の勢いでハイトーンを出すことができるが、「キラキラ」の場合はゆったりとしたミディアムチューンなだけに、「EXCITE」のようにはいかないと思う。それだけに、いかにハイトーンを歌いこなすかが見どころのひとつになるだろう。

 唯一無二のハイトーンボイスで、聴く人の心をやさしく押してくれる小田和正の「キラキラ」。ダンス&ボーカルの枠を超えてエンターテイナーとして活躍する三浦大知。ジャンルの垣根と世代を越えたコラボレーションによって、三浦の新たな魅力がさらに開花するに違いない。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

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