DEZERT、DADAROMA、DEVILOOF……“Dの称号”受け継ぐヴィジュアル系メタルバンド
DIMLIM
DEVILOOFとデスコアのように、ジェントというジャンルと縁深いのがDIMLIMだ。元D.I.D.の壱世(Dr)、元DEVILOOFの竜弥(Gt)らによって始動した、まさに“Dの申し子”の彼ら。2018年の『CHEDOARA』は、アンビエント/ノイズの冷えた質感やマスロックの知性あるエモーションを、デスコア~ジェントの重さと構築美に取り入れた名作だった。次に発表された「離人」での、ときにフュージョンを彷彿させるギタープレイは、一部でフュージョン化が囁かれるジェント/テックメタルシーンに対するヴィジュアル系からの解答とも取れる。
ジェント/テックメタルとの接近は、abstractsらを招聘した主催公演からも感じ取れる。遠くて近い“沼”を引き込んだ彼ら。abstractsのLin(Gt)が加入したNOCTURNAL BLOODLUSTが「Thank You」でジェントサウンドに近づいたこともあわせて、どんな流れが生まれるのか注視したい。
DEXCORE
音だけでなくパフォーマンスもヴィジュアル系では重要だが、その点で注目したいのが、DEATHGAZEの元ドラマー・直樹が在籍するバンド・DEXCOREだ。
美しさと重さを、楽器隊の実力とボーカリスト架神の存在感で自在に行き来する音楽性はもちろん、特筆すべきはそのムーヴ。縦ハネ、足踏み、ガニマタ……これにはクラブコアの雄、Attack Attack!の遺伝子を感じる。ヴィジュアル系のパフォーマンスにクラブコアの血を混ざることで、シーンの“美意識”に変動がもたらされるに違いない。
DOBE
同じヴィジュアル系メタルでも、“美意識”によって全く異なるバンドが生まれる。その点で注目したいのが、2018年に始動したDOBEだ。いわゆる“10年代”の音楽性だが、衣装やアレンジのセンスに90年代的なゴシック感とブラックメタル的なカルト感があり、独自の佇まいをしている。技術的に洗練されてない面はあるが、それも彼らの生々しい魅力につながってる。
このように、10年代に登場した“Dの称号”を受け継ぐバンドたちは、それぞれのやり方でヴィジュアル系メタルを更新してきた。20年代に時代が移る中で、どんなバンドが生まれるのだろうか。期待して待とう。
■エド
音楽ブログDecayed Sun Recordsの管理人でバンドマン。ヴィジュアル系とメタルをよく聴く。