シングル『Blast!』インタビュー

TRUEが語る、『響け!ユーフォニアム』への特別な思い「ずっと一緒に生きていくんだろうな」

『響け!ユーフォニアム』はアーティスト人生の一部

——あと、その葛藤や苦悩の描き方が〈悔しさに負けそうな時ほど 繰り返し練習 安定剤〉とすごく具象的なのも面白いなと思っていて。前作シングル『Another Colony』のカップリング曲であり、失恋ソングに「名前のない空腹」という抽象性が高くてリリカルなタイトルを冠した人だけに(参考:TRUEが『Another colony』で掲げた、ボーカリスト/作詞家としての矜持)、ここまで直接的なことを歌うか、と驚かされました。


TRUE:『ユーフォ』って抽象表現が似合わない作品だと思っていて。ナイフで抉るかのように辛辣なまでに自分の思いや言葉をぶつけ合う、それこそ高校生らしい、真っ直ぐなアニメなので、あんまり抽象的に青春を表現するのは違う気がするんです。ただ、あえて抽象表現を避けようと心がけていたわけではなくて、さっきお話ししたとおり、特に『ユーフォ』関連の楽曲に関しては、アニメのシナリオや原作の小説を読んで、自分の音楽観とその内容を照らし合わせていくと、自然とこういう言葉が生まれるんですよね。

——そう伺うと、TRUEさんと『ユーフォ』ってすごくいい関係ですね。

TRUE:そうですね。これまでテーマソングを歌わせていただいたアニメはすべて愛しているし、全部と真正面から向き合ってきたつもりではあるんですけど、『ユーフォ』に関してはアーティスト人生の一部というか、ずっと一緒に生きていくんだろうなと感じている作品ですね。

——そこまで言い切ってしまえるほどの『ユーフォ』の魅力って?

TRUE:あの心を抉られるような真っ直ぐさですね。結構人間の見たくない部分まで正直に表現してくれますから。

——第1期で、1年生ながらコンクールのメンバーに選ばれた(高坂)麗奈に対して「引退間近の3年生に忖度しろ」って迫った2年生の……。

TRUE:デカリボン先輩(笑)。

——あの子を観て、本気でイライラしたんですよ(笑)。「子どもの世界にもあったなあ、こういう“政治”」って。

TRUE:部活動のそういう人間関係までしっかり描くから魅力的なんですよね。今回の劇場版では久美子や麗奈は2年生に進級していて、後輩が出てくるんですけど、この子もこの子で久美子の心をグリグリとナイフで抉ってくるような子で(笑)。しかもデカリボン先輩も、その後輩の子もやっぱり子どもらしいというか、大人ならもうそんな直接的な攻撃はしないのに、っていうくらいキツい言葉を平気で投げかけるんですよ。それが逆にすごく眩しいし、あらためて原点に立ち返らされたというか。悩んだって、抉られたって、その傷は時間をかけて癒やしていくしかないし、そうやって傷付いても自分で癒やそうとする真っ直ぐさに憧れるんです。そしてそういう憧れの目で「DREAM SOLISTER」を作ったんですけど、それから4年以上経った今も、そのまぶしい光を取り込んで「Blast!」を書けたことはすごくうれしかったですね。自分で言うのもなんなんですけど「『ユーフォ』の曲を私以上にちゃんと書ける人はいない」と思うくらい一緒に歩んできたつもりなんです。

——久美子と楽器の恋にも似た関係の歌であり、『ユーフォ』の光を取り込んでアーティスト活動を続けるTRUEさんの歌でもある、と。その“アニメのテーマソング”という思いっきり他者が介在する音楽と、“TRUEの楽曲”というごくパーソナルな音楽という一見相反しそうな2つを、高次元で両立できる秘訣ってなんなんでしょう?

TRUE:なんなんですかね(笑)。以前もお話ししたとおり、私、ホントにアニメが好きなんですよね。音楽がやりたくてアニソンシンガーになったのではなくて、アニソンを歌いたくてアニソンシンガーになっているので、アニソンを歌うこと、アニメと向き合うことがそのまま自我になっているというか。好きっていう気持ちだけで仕事をしちゃってるので、正直な話、答えはわからないです(笑)。逆にアニメに寄り添いすぎてるなあ、と思うことすらありますから。ほかの作詞家さんやアーティストさんの中には、ちゃんとアニメのことも、作家・アーティストとしての自分のことも俯瞰して楽曲を制作している方がたくさんいらっしゃるので、むしろ誰かそのテクニックを私に教えてください、って感じです(笑)。

——そしてカップリング曲は「ふたつの惑星」なんですけど、サウンドデザインを「Blast!」と合わせましたよね?

TRUE:はい。

——ブラスを前面に押し出したナマ感の強い楽器構成になっている。ただ、TRUEさんの一連のシングルを聴くに、表題曲とカップリングのトーンを統一するのって……。

TRUE:初期の頃はわりとそうしようと思ってたんですよ。表題曲がアニメのテーマソングになっているなら、カップリングは挿入歌に使ってもらってもおかしくないものにしよう、って思って作ってたんです。「DREAM SOLISTER」のカップリングの「SAKURAコンチェルト」もやっぱりブラスを使った曲でしたし。ただ、ここ最近のシングルではカップリングは挑戦の場かな、と思っていて。TRUEのワガママな曲を作りたいって面もなくはないんですけど、今後よりよい、面白いアニソンを作るための実験やアプローチをできたらな、と思っています。

——なのになぜ今回は原点回帰を?

TRUE:「Blast!」が劇場版アニメの主題歌だからですね。映画を観に行くのはやっぱり『ユーフォ』のファンの方が中心だと思いますし、この曲を聴いてくださる方もやっぱりそうなのかなと思っていて。であれば『ユーフォ』とともに「DREAM SOLISTER」や「サウンドスケープ」を愛してくださったみなさんへの感謝の気持ちを表したかったというか、1枚通して『ユーフォ』ファンのみなさんに楽しんでいただけるものを作りたいと、作曲とアレンジを担当してくださった松本(良喜)さんに発注しました。

——ただビート感はアッパーな「Blast!」には寄せてないですよね。ミディアムテンポのシャッフルという、かなりリラックスしたムードの楽曲になっています。

TRUE:『ユーフォ』は熱いアニメではあるんですけど、ずっと熱いわけじゃなくて。何気ない日常を切り取っているアニメでもあって。それは私たちもそうですけど、常に全力でがんばっているわけではなくて、心のよりどころというか、疲れたときにふっと寄りかかれるような場所を必要としているじゃないですか。なんかそういう気の抜けた、かわいい楽曲が1曲あってもいいのかなと思ったんですよね。

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