平井 大、星野源、秦 基博、平井 堅……『映画ドラえもん』主題歌はなぜ子供から大人にまで響く?

星野源「ドラえもん」

星野源 - ドラえもん【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - Doraemon

 のび太たちがドラえもんのひみつ道具“宝探し地図”を手掛かりとし、ノビタオーラ号と名付けられた船で宝島に向かい、島に眠る宝を探しに行くという冒険ストーリーが展開される『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018年)。星野源が担当した主題歌のタイトルは「ドラえもん」。〈少しだけ不思議な 普段のお話〉と「少し不思議」(略称は「SF」、藤子・F・不二雄が自身の作品をそう語っている)な作品の本質を突くようなスタートから、〈ここにおいでよ 一緒に冒険しよう/何者でもなくても 世界を救おう〉〈いつか時が流れて 必ず辿り着くから/君に会えるよ どどどどどどどどど ドラえもん〉とど直球に『ドラえもん』の世界を歌っている。曲の節々にキャラクターやストーリーを想起させるフレーズやメロディが織り交ぜられており、星野の『ドラえもん』愛が伝わる歌詞になっている。

平井 大「THE GIFT」

平井 大 / THE GIFT (Music Video)

 のび太が「月にウサギがいる」と主張したことから、“異説クラブメンバーズバッジ”を使って月の裏側にウサギ王国を造ることになったドラえもんたちの冒険を描くシリーズ最新作『映画ドラえもん のび太の月面探査記』。映画のテーマに沿って月をテーマに描かれた平井 大による「THE GIFT」 は、〈忘れないで 僕らが出会えたキセキを/そしてキセキは信じるものだけに 贈られるモノ This is a gift from the moon〉と、優しい歌詞が心に残るバラードとなっている。本作で監督を務めた八鍬新之介は、同曲について「とても素敵な、映画のテーマを見事に捉えた曲」と語っている。

 映画版では壮大なスケール感の中で描かれるのび太とドラえもんの信頼関係、登場キャラクターとの間で育まれる友情が毎回一つのテーマになっている。ドラえもんへの大きなリスペクトと愛をもってアーティストたちが映画の物語に寄り添って書き下ろした歌詞からは、それらが十分に伝わってくる。また、「君」と「僕」といえばのび太とドラえもん、「僕ら」といえば2人とジャイアン、スネ夫、しずかちゃんを誰もが思い浮かべながら聴くことができる。何より、ドラえもんの世界観に感情移入しながらも、自身の生活や気持ちに重ね合わせて聴けるという点が幅広い世代に伝わりやすくJ-POPとの相性も良いのだろう。

 なお、1979年4月2日に放送が始まったTVアニメ『ドラえもん』は40周年に突入することを記念して、第1話として放送された「ゆめの町、ノビタランド」が2019年4月5日にリメイク放送決定。さらに、『映画ドラえもん』シリーズは、1980年に第1作目『映画ドラえもん のび太の恐竜』が公開されてから来年で20周年を迎える。平成が終わりを迎え新しい時代が幕を開けても、国民的アニメに華を添える名曲の数々が生まれることを期待したい。

(文=神人未稀)

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