DA PUMP、「桜」は「U.S.A.」のイメージを覆す楽曲に? グループの魅力を改めて解説

キャッチーさも忘れないのがDA PUMPイズム

 ここまでの流れでいくと“確固たる実力を持った意識が高い集団”のような印象を受けるかもしれない。もちろんそれは事実なのだが一点そこに、彼らは“能力の高さをひけらかさず観客にしっかりと寄り添ってくれる人達である”ということも補足したい。

 「桜」の歌詞も古典に出てくる短歌を詠んでいるようで、一聴して理解できるものではないかもしれない。しかし、〈生涯ファビュラス〉というフックを作ることで一気に楽曲をキャッチーにしている。同曲の作詞は「U.S.A.」に引き続き、shungo.氏が担当。桜と韻を踏む語にファビュラスを選んだセンスは、さすがとしかいいようがない。

 また、ミディアムナンバーの楽曲ではありながらも、みんなで踊れる振付が入っているのも彼らの思いやりが表れている点のひとつだ。「桜」のサビには、親指を立て人差し指と中指をくっつけた通称“サクラフィンガー”で両腕を大きく振るダンスが出てくる。ライブをただ観るだけのものでなく、一緒に参加できる場にしていく。それは、各々がしっかりとしたキャリアを持ち、パフォーマンスが自己満足で終わってはいけないということを知っているからだ。クオリティの高い音楽を難しいものにせずフラットに届ける。それこそがDA PUMPという7人組の魅力なのではないだろうか。

かつて見た あの景色へ

 ヒットソングの次の一手というのは、どのアーティストにおいても緊張するタイミングだ。ここで咲かなければ、彼らは「U.S.A」の人として終わってしまうかもしれない。しかし、そんなことを危惧しているのは見ている側だけなのかもしれない。

 「再ブレイクって言われてるのはありがたいけど、苦しかった時期とかとくにないです」以前のインタビュー(参照)で、ISSAはこう語っていた。きっと彼らにとっては「U.S.A」も「桜」も自分たちが大切にしていることを守りぬき、地道に歩みを進めてきた過程のひとつにすぎないのだ。6月には日本武道館、7月には大阪城ホールでの単独ライブも決定している。彼らが山の頂から音楽の花びらを再び舞い踊らせるその日が楽しみだ。

■坂井 彩花
ライター/キュレーター。1991年生まれ。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。Rolling Stone Japan Web、EMTGマガジン、ferrerなどで執筆。
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