Perfume、星野源……演出振付家 MIKIKO、“アーティストらしさ”と“品格”引き出す仕事術
Perfumeはもちろん、アイドル×メタルをコンセプトにしたBABYMETALの一連の作品、星野源の“恋ダンス”、2018年末の『紅白歌合戦』(NHK総合)などを沸かせた椎名林檎と宮本浩次の「獣ゆく細道」といった話題作の振付を多数手がけ、2020年には東京オリンピック・パラリンピック各式典のプランニングにも参加する演出振付家・MIKIKO。2月4日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)でPerfumeツアー演出の裏側などを公開し、反響を呼んだ。本稿では、番組でのコメントなどを振り返りつつ、その振付の特徴を考察してみたい。
“恋ダンス”の浸透ぶりから、キャッチーでマネしやすい振付を編み出すエキスパートのような印象が強いMIKIKOだが、Perfumeの振付についての「マネしやすいとかいくらでも方法はあると思うんですけど、そっちに行っちゃうのはヌルいな、と思って」(『プロフェッショナル 仕事の流儀』)というコメントからもわかる通り、過去作品のヒットは一般ウケを狙ったというよりも、そのアーティストの魅力を引き出すために“当て書き”したものが受け入れられた結果なのだという。特に“恋ダンス”に関しては、MVでMIKIKO率いるカンパニー・ELEVENPLAYが踊っている難しい振りを番組『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)ではドラマのキャストがそのまま踊る形にしたが「新垣(結衣)さんが踊ると曲がゆっくりに聞こえるんだ、という驚きがありました。(中略)彼女が踊ってくれたから、みんなが踊りたくなった、っていうのが一番ですよね」(参考:「"恋ダンス"誕生秘話をMIKIKO先生が公開&踊るコツ伝授!)と語っており、さまざまな化学反応がヒットの要因となったと振り返っている。
では、全体的には高難易度のダンスが不思議とキャッチーに見えるのはなぜだろうか。先述の“恋ダンス”の中では、たとえば〈夫婦を越えていけ〉や〈ふたり〉を指2本を組み合わせ直感的に表現したハンドサインが振付の中でも特徴的といえる。過去作品を振り返ると、バレンタインデーを2・1・4のサインで表現したPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」、やはりイントロの1のサインで“あの曲だ!”とわかる「ワンルームディスコ」etc……と、印象に残るようなハンドサインを盛り込んだ振付が多いことに気づく(参考:『MdN』2015年9月号「時代を創る振付師 MIKIKO」)。