TWICE、Red Velvetらもカバー 「Baby Shark(サメの家族)」世界的ヒットの背景

 実は、「サメの家族」という楽曲自体はピンクフォンのオリジナル曲ではない。欧米の「nursery rhymes」と呼ばれる伝承童謡(口頭で伝わってきた子供のための曲)の1つである「Baby Shark」が原曲だ。日本の「かごめかごめ」などと同様に明確な作曲者は存在しない曲のため、メロディ自体に著作権はない。大元はドイツの童謡で、アメリカでは昔からボーイスカウトやガールスカウトなどでよく歌われてきたようだ。実際YouTubeを検索してみてもピンクフォンのバージョン以前の動画も確認できる(ちなみにピンクフォンは同時期にイギリスの伝承童謡である「マザーグース」の動画も多くリリースしている)。YouTubeのコメント欄でも「子供の頃よくきいた」「懐かしい」という英語のコメントは多く見られ、ビルボードでのランクインについてアメリカのトーク番組『ジミー・キンメル・ライブ』で言及された際も「昔からおなじみの曲がなぜ急にランクインしたのか」について「実はこの動画を作ったのは韓国の企業」と説明されていた。以前からオリジナルの楽曲が知られているアメリカでは、どこの国で作られたバージョンかは知らずに動画を見聞きして踊っている層も多くいるようである。

 「サメの家族」は、最初は子供向け教育動画の1コンテンツとして作られたものが、国内のヒットからアイドルやウェブ動画を経由して海外に広がり、原曲の国でも流行するに至った、という珍しいバイラルヒットの例と言えるかもしれない。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
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