Perfumeが次に越えるのは“世界”への境界線? 挑戦の1年振り返りと2019年への期待

「世界」への再チャレンジ

 そんなPerfumeがいまだ明確に飛び越えられていないのが、「日本」と「世界」の境界線である。

 もちろん、世界に向けた発信を通じた成果はいろいろなところで出ている。日本国内のライブにも海外からファンが参加し、また『Future Pop』は世界20か国のiTunesエレクトロチャートで1位を獲得した。前作『COSMIC EXPLORER』もアメリカの音楽雑誌『ローリング・ストーン』の「20 Best Pop Albums of 2016」16位に選ばれるなど、作品面での評価も受けている。

 一方で、彼女たちが2014年末に掲げた「2年以内にマディソン・スクエア・ガーデンで2デイズ」という目標は残念ながら達成できず、海外戦略について何らかの下方修正をしないといけない状況にあるのもまた事実である。

 Perfumeが明確に海の向こうを意識し始めた2012年以降、世界の音楽シーンの趨勢は大きく変わった。BABYMETALやONE OK ROCKの活躍、さらにはK-POPを中心としたアジア圏のアーティストの台頭など、Perfumeの成果を飛び越えて結果を残しているアーティストもいまや多数存在する。

 「設定した目標に向かって活動規模を拡大し続ける」ことの是非はあるかもしれないが、国内で新たな価値を提示し続けるPerfumeにとって、海外での確固たるプレゼンスの獲得というのは現実的な目標でもある。そして何より、彼女たちが望むのであればその道筋を応援したい。

 今年の3月からは約2年半ぶりの北米ツアーが始まり、さらに4月には世界のポップミュージックのショーケースともいうべき『コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル』への出演も決まるなど、この春の活動はPerfumeの今後の海外戦略における試金石となる。

 先日発表されたコーチェラの出演者一覧におけるPerfumeの文字は小さく(一方で同じアジア勢のBLACKPINKはヘッドライナーに次ぐ位置づけである)、グローバルにおけるこのグループの実勢を突き付けられたような気持ちにもなる。ただ、こういった逆境こそ、Perfumeにとっては「燃えるシチュエーション」だろう。今年の夏を迎えるころに、世界中で「Perfumeやばい!」という声が広がっていることを大いに期待したい。

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題になり、2013年春から外部媒体への寄稿を開始。2017年12月に初の単著『夏フェス革命 -音楽が変わる、社会が変わる-』を上梓。Twitter(@regista13)

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