星野源「アイデア」はなぜ大きな現象を生んでいる? 音楽的な面白さから楽曲の魅力に迫る

 ビートが混沌の度合いを増し、それが頂点に達した直後に聴こえてくるのは、アコギと歌による〈闇の中から歌が聞こえた〉というフレーズ。弾き語りはシンガーソングライターとしての星野の原点であり、ライブでも常に披露されてきたスタイル。もっともシンプルな形に戻り、闇の中から光を見出しながら、どこかにあるはずの希望に向かって進み始める。そこで生まれる圧倒的なカタルシスもまた、「アイデア」の大きな魅力だ。

 これまで培ってきた音楽的なスキルとセンス、“エキゾチカ”“ダンスミュージック”に象徴されるコンセプトをきわめて高い純度で注入しながら、誰もが楽しめるJ-POPに結びつけた「アイデア」は、現時点における星野源の集大成と言っても過言ではないだろう。少し気が早いが、この楽曲を作り上げたことで星野は、次の場所に向かって進むことになるはず。そして、そこで表現される音楽は、我々の想像を遙かに超えるものであってほしい。そう、細野晴臣がアルバム『はらいそ』(1978年)を発表した後、イエロー・マジック・オーケストラを立ち上げたように。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

星野源『アイデア』

■リリース情報
『アイデア』
iTunes Store、レコチョク、moraほか各音楽配信サイトにて好評配信中。
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